クロスプラットフォームのUIも今後の動向に注意すべき分野だ。もともと「Javaは複数のOS上で共通のプログラムが動く」ことを売り物にしており、今はそのメリットをより発揮しやすい状況にある。最近になり、デスクトップではWindowsだけでなくMac OS XやLinuxの存在感が徐々に増している。また、iOSなどのスマートデバイスが爆発的に普及した。エンタープライズユーザーも、複数のOSへの対応が迫られることになる。
Oracleは、新たなUIフレームワークであるJavaFXを今後のクライアントJavaの主流となるUIフレームワークとして売り込もうとしている。その特徴は、Windows、Mac OS X、Linuxと複数のデスクトップOSに対応し、さらにiOSなどスマートデバイスも対象にしようとしていることだ。マルチタッチなど現代的な機能を取り入れ、3D表現や多様なビジネスチャートなど、HTMLだけで実現するよりもリッチな表現を可能としている。
JavaOneのキーノートでは「JavaFX on iOS」の試作品をiPad上で動かして見せた。これは、JavaランタイムとJavaFXベースのUIアプリをiOSアプリとしてバンドルしたものだ。現段階では試作にとどまるものの、企業ユーザーの間でiPadのようなスマートデバイスへの関心が強いことを考えると、Oracleが「デスクトップとスマートデバイス上でリッチなUIを備えた共通のクライアントプログラムを走らせる」という構想を実現しようとしていることは間違いない。
Javaテクノロジは、現代のエンタープライズITのメインストリームとなっている。そのJavaテクノロジの世界で、クラウドやスマートデバイスも視野に入れた形で再び進化が始まっていることは、注意しておく必要がありそうだ。