早期導入バージョンを用意する
仮想デスクトップをスタッフの一部のグループに先行導入すると、そのグループは本番の導入のためのテストベッドとしての役割と、エバンジェリストとしての役割を果たすことになる。
NATSは本番の導入に先駆けて、約100人の上級スタッフに機能縮小版の仮想デスクトップを導入した。Walker氏は、この早期導入がスタッフの間でこのプロジェクトに対する「巨大な」関心を生んだと述べた。
ただし、スタッフの期待を管理すること、そして提供前にプロジェクトを売り込みすぎないことも重要だ。Walker氏によれば、VDI(仮想デスクトップインフラ)の導入でログイン時間が短縮される(ローカルデスクトップへのログインにかかる時間が、3分から15秒になる)と知らされると、従業員のデスクトップPCに対する不満が増大したことがわかったという。
あらゆることをテストする
既存のソフトウェアや機材と仮想デスクトップの互換性を、注意深くチェックすることが重要だ。NATSは仮想化を専門とする企業Point to Pointと一緒に、アプリケーションとデバイスの完全な一覧表を作成し、互換性をテストした。
Walker氏は次のように述べている。「これは仮想化技術であるため、まったく予期していないところで問題が起きることがあり得る」
「われわれは、ミーティングルームで60のスマートボードを使ってみて、これを仮想デスクトップで動かそうとするのは、トラウマになりそうなほど大変だということが分かった。仮想デスクトップはこれらのデバイスを認識せず、問題の検証と解決にはスマートボードのメーカーおよびCitrixと共同作業をする必要があった」(Walker氏)
オフライン作業に伴う問題に対処する
仮想デスクトップは、サーバからデスクトップをストリーミングするための接続を必要とするが、スタッフがオフラインで作業をしなくてはならない場合もある。
仮想デスクトップをオフラインで動作させるソフトウェアはまだ比較的新しく、オンラインで使うデスクトップの使い勝手に匹敵するようになるまでには、まだ解決すべき問題をいくつか抱えている。このため、自分の環境で使えるものが見つかるまでには、多くのオフライン技術の選択肢を試してみる必要があると考えた方がいいだろう。
Walker氏は次のように述べている。「大きな課題は、効率的なオフライン環境を提供することだ。われわれが考えているソリューションは『XenClient』だ」
「これはCitrixの新製品で、現在はまだバージョン2であり、ユーザーの使いやすさは本来あるべき水準に達していない。例えば、無線LANにアクセスするにはかなりの量のキー入力が必要であり、われわれの顧客の多くはあまりITに詳しくない」(Walker氏)
導入業者を追及する
CIOは計画、テストの段階から、導入に至るまでのすべてを段階で何が提供されるべきかについて、現実的で詳細な計画を定めるべきだ。
これは、導入業者の進捗状況が計画通りに進んでいるかを週単位で評価すべきだということを意味している。もし導入業者が計画を実現する方法について質問に答えられなければ、警戒すべきだ。
Walker氏によれば、「もし導入業者が計画を実現するためにどう対応するかを答えられず、わたしが『彼らはなぜ自分でその質問を思いつかなかったのか』と考えているのが相手にとって想定外であれば」、問題の報告を受けて解決することのできる、関係組織の上級代表者で構成されるガバナンス委員会を設置すべきだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。