顧客満足度を上げるためのソーシャルデータの活用方法とは--もしもしホットライン - (page 2)

柴田克己

2012-04-20 14:26

「リスク」や「解約意思」を知るための活用例

 ソーシャルメディアの情報を活用することで可能になる分析の主な例として、久野氏は「リスク検知」と「解約意思モデルの構築」を紹介した。

 リスク検知は、いわゆる「ネットで流れるネガティブな評判」を事前に知ることで、コンタクトセンターなどに直接寄せられる問い合わせに備えるための取り組みである。久野氏によれば、ネガティブな話題に関するテキストを、従来のコンタクトセンターに寄せられる声の「話題分類」に従って分類しようとすると当てはまりが悪く、分析に適さないものになってしまうという。そのため、リスク検知にあたっては、ネガティブな話題専用の分類を作成し、その精度を継続的に向上させていく取り組みが必要だとした。

 久野氏は例として、原子力発電所の事故に伴う放射性物質に関する話題と、食品産地に対する消費者の不安の反応について、コンタクトセンターへの問い合わせとソーシャルメディア上のテキスト情報を比較分析したデータを示した。これによれば、ソーシャルメディアではコンタクトセンターに先がけて消費者からの情報発信があったという。また、件数の推移にはタイムラグがあり、反応の強さやその継続期間にも差が見られたとする。この差を知ることによって、コンタクトセンターへのコール予測、FAQやマニュアルを事前に改訂することによるリスクの回避が可能になるという。

 もうひとつの事例である解約意思モデルの構築は、定期的なサービスの契約者のうち「継続者」と「解約者」の違いを知ることを目的とする。企業が保有している定量的な情報から、顧客属性の違いや属性別の契約生存時間をデータマイニングによって割り出すとともに、ソーシャルメディアのデータを活用して「解約理由」の分析を行おうとするものだ。

 「『なぜ』解約したのかという理由に関するデータは、会社では取得しにくい。そこでソーシャルメディアのテキストデータを活用し、それを顧客属性のデータと照らし合わせて分析することで、顧客属性と、解約に至る感情や背景の関連性について考察しようという試みである」(久野氏)という。

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