iPadによるモバイル化を進める中国企業
実際に、中国の製造業者はどのように情報共有の仕組みを構築し、効果を得ているだろうか。
建設用機械装置大手のChangsha Zoomlionは、建設、エネルギー工学、環境工学など国の主要なインフラ建設プロジェクトのために、高度技術と機械の研究開発を手掛けている。売上高は508億元、日本円にしておよそ7500億円に上る。売上高の5%を研究開発に充て、新製品の開発本数は年間300以上。全売上高の半分以上を新製品が稼ぎ出す。
Zoomlionのシステム部長、チャン・フェイ・チン氏
システム部長のチャン・フェイ・チン氏によると「顧客の要求を満たすためのイノベーティブな基盤づくりに注力している」。中国国内で700件以上、海外で100件以上の特許を出願し、非特許の革新的技術600件以上を開発するなど、研究開発に熱心だ。
製品の評価が世界的に高かったことに加え「長い期間にわたり、われわれと戦略的な関係を築いてくれるITパートナーが必要だった」とチャン氏はシーメンスPLMのソフトウェア導入の経緯を話す。
Zoomlionは、CADを利用した製品のバーチャルデザインから開発、生産プロセスの最適化、販売、カスタマーサービスという一連のサイクルをPLMツールを利用して「クローズドループになることを意識して管理している」。さらに、工場や倉庫での実際の在庫量などの情報を管理する製造実行システム(MES)とPLMシステムを統合した。MESからのフィードバックを受け、理論値と実在庫の量に差があればすぐにPLM側のシステムに反映されるため、実態を反映したシステム運用ができるとしている。
今後は「PLMアプリのモバイル化を進め、iPad導入を強化する」という。顧客先などさまざまな場面で3Dのデモや製品カタログを見せられるようになった。「iPad導入前は顧客先に出向く前に、自分から仕様の変更点などの情報を確認しなければならなかったが、それが必要なくなった」と導入効果について話している。