東芝では、液晶テレビやハイビジョンレコーダーなどの映像事業を管轄していたビジュアルプロダクツ社と、パソコン事業などを管轄していたデジタルプロダクツ&ネットワーク社を統合し、デジタルプロダクツ&サービス社を設置。薄型テレビ、PC、タブレット端末の融合商品とサービスの創出に向けた体制を構築している。
東芝は携帯電話事業を富士通に売却してしまったため、PC事業と携帯電話事業との連携はないが、「グローバルに映像事業とパソコン事業を展開している強みを生かして、液晶テレビ、ハイビジョンレコーダー、パソコン、スレート端末などのデジタルプロダクツの設計開発、生産調達、販売・マーケティングをひとつの組織で展開し、とくに著しい成長が見込まれる新興国市場での販売力、ブランド力を強化するとともに、調達、販売の効率化を図ることで競争力を高め、新興国向けの売り上げ台数比率を、2013年度までに約50%まで引き上げる」としている。
こうした各社の組織再編の動きは、PCそのものが単体での製品づくりやマーケティング戦略から脱却し、各種デジタル製品との連動やネットワークサービスでの共通利用が前提となりはじめていることが見逃せない。それがPCの新たな利用シーンにつながっていることを示すものともいえる。
象徴的なのがアップルの動きである。
アップルがMacとスマートフォンのiPhone、タブレット端末のiPad、携帯音楽プレーヤーのiPodを連携させた製品提案で成功しているのは周知の通りだ。
PC事業との連携は、薄型テレビの東芝、プリンティングのヒューレット・パッカード、携帯電話の富士通およびソニーと各社各様だが、言い換えれば、これらの連動領域がPC事業における各社の特性を強調することになる。
しかし、気になるのはPC事業が主導権を持って統合されているのかどうかという点だ。むしろ、その多くが吸収された側にあるとの見方ができそうだ。