提携範囲に含まれる「携帯電話」の意味
もうひとつのポイントは、中小型のIGZO液晶の生産において、鴻海グループとの提携がどこまで進むのかといった点だ。
シャープは「現時点では、鴻海グループとIGZO液晶についての話し合いは行っていない」「堺工場でのIGZO液晶の生産については検討している段階」と語るに留まるが、競争力が高い技術だけに、鴻海グループとしてもIGZO液晶に対して強い関心を持っていることは容易に想像できる。
今後の提携範囲のなかには、液晶テレビに加えて「携帯電話」という言葉も含まれている。今後の両者の提携強化のなかで、IGZO液晶の取り扱いも気になるところだ。
一方、堺工場では薄膜太陽光パネルの生産も行っているが、これはSDPとまったく関係がないビジネスとなる。そのため、SDPへの出資という点では、太陽光パネルの生産に影響はないともいえる。
しかし、鴻海グループとの提携の範囲が、太陽光パネルまで及ばないかというと決してそうとはいえない。
それはもうひとつの提携によって、網羅される可能性があるからだ。
もうひとつの提携とは、シャープが鴻海グループを割当先として第三者割当による新株式を発行し、鴻海精密工業が4.06%、鴻準精密工業が0.65%、Foxconn(FAR EAST)Limitedが2.53%、Q-Run Holdings Limitedが2.64%を引き受けるという内容だ。
これら鴻海グループ全体で9.88%の出資比率となり、鴻海グループとしてみればシャープの筆頭株主となる。
つまり、筆頭株主としてシャープとの緊密な関係を構築する上で、太陽光パネルの生産などでの提携が行われる可能性が捨てきれないのだ。