検証は、システムを構成している特定のDBサーバ、APサーバ、あるいはその双方にCPUの高負荷状態が生じたときにおこるミドルウェアの挙動を確認するかたちで行った。
「自分たちも半信半疑だった」(井澤氏)ということだったが、実際に検証を行った結果、CPU負荷が高まったサーバへのリクエスト量の減少と、他のサーバへの振り分けは数秒単位で行われ、全体でのリクエスト処理量に大きな影響を与えず稼働を続行できたという。
「この検証の結果、我々が『このような状況になったときには、こうなってほしい』と思う処理が、想像以上のレベルで自律的に行われた。この機能は非常に有効だと評価している。また、システム上の問題が解消したときに、自動的にもとの状態に復帰する点もよくできている。こうした処理はミドルウェアに任せたほうが、人手でやるよりも迅速に実施できる」(井澤氏)
サービス停止時間が数十分から数秒に短縮
このCRMシステム統合プロジェクトは現在も継続中だが、既に構築を完了した新たなシステム基盤の稼働による効果は表れているとする。例えば、可用性の面において、現行の基盤では、何らかのトラブル時やメンテナンス時におけるサービス停止時間が、従来の15〜60分から「0〜90秒」に短縮された。
「システム全体がダウンしたケースでも、サービス停止は90秒にとどまった。われわれの環境では仮想サーバを利用しているが、物理サーバなら復旧時間はもっと速いのではないだろうか」(井澤氏)
業務効率化については、現状RMS、FIRSTのみが稼働している状態のため「すべての統合完了後に改めて評価したい」としたものの、性能面ではレスポンスタイムが1.5秒を超えるトランザクションの割合が、従来の0.062%から「0.005%」にまで削減されるなどの実績を上げているという。
また、コスト削減効果については見込みベースではあるものの、保守期限以降も従来のシステムを使い続けた場合と比較して、投資額で4億8500万円、年間の経費ベースで2億3600万円の節減が期待できると試算している。