「オートノミックがより高度なシステム運用を可能にする」
井澤氏は、今回のプロジェクトを進めていく中で最も苦労した点として、IBM pureScaleをはじめとして、システム基盤に採用したハードウェア、ソフトウェア技術の大規模な先行導入事例が、当時他に存在していなかった点を改めて挙げた。
そのため、開発着手前のアーキテクチャレビュー、パフォーマンス検証、基本機能や各コンポーネント障害時の挙動確認、開発期間中の品質強化テストや障害対応情報の収集などには、特に神経を使い、時間を費やしたという。
「品質的な問題もまったくなかったわけではないが、その際のIBMの対応は『総合力が違う』ことを感じさせるものだった。導入を検討しているユーザーとしても、安心して利用できるのではないだろうか」(井澤氏)
井澤氏はまとめとして、このプロジェクトにおける構成や製品選択を「正解だった」と言い切った。そして今後、同様のシステム基盤の構築を検討しているユーザーに対しては「オートノミックによる管理の自律化をぜひ活用すべき」とアドバイスした。
「IBMのミドルウェア群によって実現されるオートノミックは、IBMが持っている知見に、ユーザーの知見を加えた判断と処理を自動的に行うもの。この技術にある程度の対応を委ねることで、人間のスキルと経験に基づいた判断以上に迅速かつ的確な対応が可能になる。突発的な事象に対する人為的な反応には限界がある。システムのチューニング等には、人間が判断する部分が残っていくと思われるが、必要に応じてオートノミックを取り入れていくことで、より高度な判断と処理が可能になるだろうと感じている」(井澤氏)
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