村上氏:日本インフォアでは今、ソーシャル化の準備運動としてFacebookのグループ機能を社内の一部と顧客との間で利用している。Facebookはプライベートで利用している社員が多いため、任意参加ではあるが、メールでコラボレーションするよりはずっと便利だと感じている。
ソーシャルデータは、CRMなどのアプリケーションに存在するデータと違い、非定型で業務フローに従っていないものも多い。ただ、そこでやりとりされるデータの中にはビジネス上でも大切なデータが多く、うまく使えば仕事で大いに活用できるだろう。
ソーシャル化のメリットは、様々な関係の壁を越えて人と人がつながることだ。そのメリットを実感できるように利用しなくては、ソーシャルエンタープライズになることはできない。ユーザーインターフェースを変えただけでソーシャル化が実現するかというと決してそうではなく、日々の活動の中でソーシャル機能をうまく使うことが重要だ。現在のFacebookのテスト利用にしても、ヘビーユーザーが集まってコラボレーションする場合はとても生産性が高いが、これを全員が同じレベルで活用できるようにしなくてはならない。(Infor10 ION Workspaceで)仕組みは用意できたので、ツールを使ってCRMやERPのデータとも連係しつつ、ソーシャル機能を活用できればいいと思う。
ただ、現在Facebookを利用するにあたっても、日本の顧客の中にはFacebookを遊びとしかとらえていない企業もあり、業務時間中にアクセスできない人もいるため、ソーシャル化へのハードルは高いと感じている。急には変わらないと思うが、顧客の中にもAppleのiPadを業務利用する企業が増えている。iPadなどのタブレット端末においてソーシャルアプリケーションはキラーアプリのひとつとなるため、タブレット端末という方向からソーシャル化が進む可能性はある。
--Infor社内では、Facebook以外に何らかのソーシャルツールは利用しているのか。
村上氏:Inforはワールドワイドで企業向けSNSのYammerを利用している。中でも研究開発チームはYammerを非常に活発に活用していて、製品ごとのグループを作り製品情報をやりとりしている。このグループに行けば、どの製品で何が起こっているのか何でもわかるようになっている。すでにこうしたツールをうまく活用できていれば、ソーシャルエンタープライズへの移行もスムーズに進むだろう。
--基調講演では、2010年にInforの最高経営責任者(CEO)に就任したCharles Phillips氏が「Inforはイノベーションの時代に入った」と語ったのが印象的だった。Phillips氏の下でInforは変わったと感じるか。