日本IBMは5月10日、ビッグデータに関する社内横断組織として「チーム・ビッグデータ」の新設、BAO(Business Analytics and Optimization)ソリューション製品として「ネクスト・ベスト・アクション」と「CFOパフォーマンス・インサイト」を発表した。
BAOはビッグデータに対応し、分析から予測、ビジネス最適化などのデータ活用やデータ管理を行うことでビジネス価値の創出を支援するものであり、日本IBMでは重要な取り組みのひとつに位置付けている。
IBMは2005年以降、BAO関連分野で30社を買収。160億ドルを投入してきたほか、世界8カ所のアナリティクス・ソリューション・センターを設置し、1万人を超える技術者と9000人のコンサルタントを擁し、年間600件近いアナリティクス関連の特許を取得するなど、この分野への投資を加速している。
同社は、ここにきてBAOへの取り組みについて「IBMスマーター・アナリティクス」という言葉を用いており、「過去を見て今を知るのではなく、今を見て将来を予測し、お客様の行動を変えていく。クラウドベースでのアナリティクスサービスも提供しているほか、『Watson』に代表されるようにユーザー企業にとっては使い続けることで進化していく技術でもある」(日本IBM 常務執行役員 グローバル・ビジネス・サービス事業コンサルティング・サービス兼ビジネス・アナリティクス&オプティマイゼーション担当の鴨居達哉氏)と説明する。
チーム・ビッグデータは、社内のビッグデータに関するさまざまな領域の専門家を「データプラットフォームチーム」「予測型アナリティクスチーム」「業種別担当チーム」として構成。横断的組織としてビッグデータを活用したユーザー企業のビジネスを推進する体制を整える。
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データプラットフォームチームでは、ビッグデータの処理パターンに応じた最適なアーキテクチャを設計。情報基盤全体のグランドデザインの設計と構築を行い、ハードウェアやソフトウェア、サービスのワンブランドとしての総合力を生かすという。
リサーチャーやコンサルタントなどが参加する予測型アナリティクスチームでは、顧客のビジネスにおけるビッグデータの活用機会を特定。投資対効果を可視化し、先進技術の適用実現性を評価する。
業種別担当チームでは、事例を活用し、顧客のビッグデータの課題に対する最適なソリューションを提案する。金融や製造、通信といった業種ごとの業界知識を活用し、ユーザー企業のトランスフォーメーションの実現までを支援する。
すでに4月から同組織は稼働しており、「BAOの組織横断型体制の中のひとつのコンポーネントとして、ビッグデータの横断組織を設置したものであり、チームクラウドとの連携も図っていくことになる。かなり大きな人数規模で取り組んでいくことになり、ビッグデータを活用した企業の課題解決を支援することになる」(鴨居氏)とした。
新たなBAOソリューションであるネクスト・ベスト・アクションは、ビッグデータを分析して、次に起こすべき最適なアクションを販売員やコールセンター、メールといった企業が直接顧客と接触する顧客接点に対してタイムリーに提示する。
企業内の顧客情報やコールセンターのコンタクト履歴に加えて、スマートフォンやソーシャルメディアへの書き込み、オンラインストアでの購買履歴といった消費者の行動データを統合して瞬時に分析。どういったアクションを取れば、最も購買につながりやすいかといった分析情報を数秒以内に現場にフィードバックするという。
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