#3:ITはチームで行うものだということを忘れてはならない
優れたCIOは強烈な個性を持ち、自ら先頭に立ってチームを牽引していくことも辞さない。しかし、こういった性格だけでは十分とは言えない。優れたCIOは、サポートメンバーとしても秀でていなければならず、その点についてはCoby氏もしっかりと認識している。
Coby氏は「ITはチームで行うものだということを絶対に忘れてはいけない」と述べ、成功は必ずしもCIOに始まり、CIOに終わるというものではないと主張している。
例を挙げると、Coby氏はJohn Lewisに入社して以降に成し遂げてきた多くの素晴らしいものごとは、自身が着任する前から始まっていたのだと述懐している。今も昔もITは流動的なものである--そしてデジタル革命のスピードを考えた場合、CIOは嵐の海の中でチームを率いていかなければならないのである。
Coby氏は、「あらゆる人々のテクノロジ環境はより複雑なものへと変貌し続けていく」と述べたうえで、「ITを支援する人たちは、非常に複雑なシステムを相手にしなければならない。そして、今後もテクノロジの変化は淀みなく続いていくため、CIOの足下は巨大な氷山でできていると言ってもよいだろう。CIOの役割は、こういった変化に対応していくというものなのだ」と説明している。
#4:日々の業務よりもイノベーションの方を優先したりしない
ほとんどのITリーダーは技術者の経験を積んできている。しかし、テクノロジの一歩先を見つめるCIOは、その詳細のみにとらわれてしまわないよう注意する必要がある。
テクノロジは現代における業務運営の要となっているものの、もはや門外不出の秘儀というわけではない。デジタル世代はさまざまなシステムを必要に応じて使いこなし、オンデマンドでアプリケーションや情報を活用することもお手のものだ。このため、業務支援に積極的なCIOは、さまざまなデジタルテクノロジを戦略的に用いることになる。
しかし、Coby氏は警鐘を発している。同氏は「業務こそが本当に重要なことなのだ」と述べたうえで、優れたITリーダーであれば、日々の業務よりもイノベーションの方を優先したりすることなどないと強調している。
Coby氏はJohn LewisでITの変革に取り組み、店舗内におけるタブレット機器の利用をはじめとする、先進テクノロジの活用方法を数多く生み出してきた。同氏は「われわれはすばらしいものを実現したいと考えている」と述べる一方で、「しかしレジをダウンさせるようなことがあれば、誰もイノベーションのことなど聞く耳を持ってくれなくなるだろう」とも述べている。