ミック経済研究所は5月15日、顧客情報管理(CRM)のIT関連市場の動向をまとめた調査結果を発表した。2011年度のCRM総市場は前年度比1.2%増の6396億円になったという。
調査ではCRM市場をシステムアプローチごとにマーケティング、セールス/サービス、レコメンデーション、カスタマーサービス、ビジネスインテリジェンス、総合の各ソリューションに分類、個々のソリューションごとにシステム構築(SI)中心のITソリューション市場とSaaS市場のトレンドを集計、分析している。
ITソリューションは景気低迷の影響で投資意欲が減退しており、市場でもユーザー企業の投資を喚起するような新しいソリューションも登場していないのが現状であり、2008年度をピークに伸び悩みを続けている。
だが東日本大震災の影響から、企業の中には事業継続計画(BCP)を強く意識する企業が増えてきているという。その中でコンタクトセンター向けソリューションを中心としたCRM市場で、BCP対策が進められており、一部で投資が回復傾向にあるとしている。
SaaS市場では、ITソリューション市場と比べて市場規模自体はまだ小さいが、SFA中心のSalesforce CRMをはじめとして各分野のSaaSベンダーは引き続き好調に売り上げを伸ばしているという。
こうした結果から2011年度のCRM市場は前年度比1.2%増の6396億円になっている。ITソリューション市場は0.4%増の6087億円、市場全体での構成比は95.2%。SaaS市場は前年度比18.8%増の309億円で4.8%を占めている。

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SaaS市場は今後成長率が鈍化するが、好調に推移すると予測され、2012~2014年度の年平均成長率(CAGR)は13.3%と今後も2桁成長で推移していくと予測している。ITソリューション市場はリーマンショックに端を発する景気低迷の影響から、またSaaSへの移行とSI単価の下落から2008年度をピークに2年連続で市場規模が減少している。
今後はリーマンショック以降に凍結となっていた案件が、システムの陳腐化などで、これ以上刷新を先延ばしできない状況となっており、市場が動き出してきていると分析。だが、SaaSへの移行とSI単価下落の影響、ソーシャルメディアやスマートフォンなどを活用した新しいソリューションの確立には時間を要すると見ている。こうした背景から、ITソリューション市場の2012~2014年度のCAGRは1.4%で推移すると予測している。