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「5年以内にすべてがモバイル、クラウド、インメモリへ」:SAP共同CEO - (page 2)

末岡洋子

2012-05-18 13:38

 変化はすでにおきているという。Snabe氏は、コンシューマーインターネットのビジネス版となる「インテリジェントなビジネスウェブが出現している」と話す。

 ビジネスウェブ上で各社が提供するサービスを組み合わせるという手法で業界の境が薄くなっているという。たとえば通信事業者が金融サービスを提供したり、自動車メーカーが保険サービスを提供したりといったことが容易になるとしている。リアルタイムインテリジェンスにより、企業単位の最適化からバリューチェーン単位で末端までの最適化が可能になると説明する。

 「ビジネスウェブにより、資源問題や人口問題解決に向けた土台を構築できる」(Snabe氏)

写真3 英McLaren GroupのCEO、Ron Dennis氏

不可能への挑戦というアートに取り組むマクラーレン

 資源の効率化とリアルタイムインテリジェンスにより企業規模は小さいながらも成功している顧客として、Snabe氏が紹介したのが英McLaren Groupだ。

 1966年に創業、Formula One(F1)レーシングカーで世界的に知られる同社だが、Snabe氏に紹介されてステージに登場したCEOのRon Dennis氏は自社を「技術好きのシリアルエンタープレナー」と形容する。McLaren Groupは、そのノウハウをスポーツや医学、バイオメカニクスなどに応用するMcLaren Applied Technologies、F1チームに提供する電子制御ユニット(ECU)の開発、センサ機器やテレメトリなどを受け持つMcLaren Electoronics Systemsなど多角展開を進めている。

 カーレースを本業とするMcLaren Groupは、データを収集、分析し、データに基づく微調整によりパフォーマンスを上げることにこだわってきた。グループ企業であるMcLaren Electoronics Systemsでは、センサや遠隔監視のテレメトリからデータを収集、処理するツールを提供しており、冬期オリンピックの英国ボブスレー・スケルトンチームにも、そのリアルタイム技術を提供した。

 ソリ部分に多数のセンサを装着し、体の動きなどのデータをGPSを利用して収集、分析することで、スピード改善につなげたという。Snabe氏に事業多様化と成功の秘密に聞かれたDennis氏は「不可能への挑戦というアートに取り組んでいる」と答える。

 以前からSAPのユーザー企業であるMcLaren Groupは今回、HANAの導入を決定した。Dennis氏は「HANAの性能にぶっとんだ」とその印象を語る。F1レーシング活動をはじめとしたさまざまなビックデータの活用、可視性改善などを期待している様子で「我が社にとって重要な技術になる」と述べる。McLaren Groupはまた、事前設定済みのソフトウェアと実装サービスで迅速な導入を支援する、SAPのサービス「Rapid Deployment Solution」を利用し“Time to Value”を短縮するという。

写真4 Dennis氏(左)とSnabe氏

今日の小さな決定が将来大きな変化をもたらす

 Snabe氏は講演の中で3つのアドバイスを挙げた。

 1つ目はコアのコンソリデーションであり、SAPは企業向けアプリケーション群「Business Suite」を統合し、サポートを2020年まで延長することも発表している。分析も同様に、SAPは分析ツールとプラットフォームを一貫性のあるインフラに統合、非SAPのデータソースも統合できるという。

 Snabe氏はまた、ユーザーインターフェース(UI)の改善に取り組んでいることにも触れている。たとえばBusiness SuiteのUIはHTML5に対応することで、より直感的でコンシューマーライクになったと説明する。分析では、イベントの期間中にビジネスユーザー向けのデータ可視化ツール「SAP Visual Intelligence」も発表している。そのメリットはコストとして「削減したコストをイノベーションに充てることができる」(Snabe氏)という。

 2つ目はモバイルとクラウドの導入だ。ここでは、Sybaseのモビリティ技術とモバイルアプリがあり、クラウドではパブリックとプライベートの両方にコミットする。モビリティではモバイルアプリのSycloを、クラウドではSuccessFactorsを買収している。そのメリットはビジネスウェブ対応にあるとしている。

 3つ目はインテリジェンスの追加。インメモリでスピードを得ることで過去についてのレポートだけでなく、将来も予測できるという。すでにデータウェアハウス「Business Warehouse」がHANAに対応しており、Snabe氏は「今すぐ始められる。しかもリスクフリーだ」とその利点を強調する。

 メリットは将来の予測と問題解決にあるという。たとえばガン治療に役立つDNA解析は現在、3日を要し、コストは10万ドルといわれている。だが、HANAを利用すると要する時間はわずか1秒に短縮、コストは4000ドル以下になると説明する。

 Snabe氏は以下の言葉でスピーチを締め括っている。

 「(地球は)さまざまな問題を抱えているが、変えることができる。今日の小さな決定が将来大きな変化をもたらすことができる」

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