負債、現金、債券の管理
この30年間ほとんど途切れることなく金利が下がり続けたため、金利が上昇する状況の中では、それまでと異なる形で負債と流動性資産を管理する必要があります。金利が低い今のうちに長期借入金(住宅ローンなど)は固定化して下さい。そして、短期証券にのみ投資して下さい。そうすれば、金利が上昇した時に再投資することが出来ます。
変動金利住宅ローン(ARM)は避けましょう。金利が上がるにつれ返済額も増えてしまいます。金利がリセットされる前に素早くローンを返済するプランを組まない限り、ARMは避けて下さい。家を購入しようとしている人やローンを借り換えようとしている人は、頭金を低く抑えるか借入を増やすことを検討して下さい。インフレになると借金の負担は軽くなります。
(変動金利住宅ローン(ARM):住宅ローンの返済中に、経済情勢の変化に連動して金利が変わる方式の住宅融資。低金利の時に借りた場合は、途中で返済負担が重くなる可能性が高いので注意が必要)
よって、住宅ローンは多めに組んでおくと良いでしょう。長期的に見れば、借金は減って行くからです。また、貯金口座や公社債投資信託、1、2年の定期預金を利用していつでも現金を使える状態にしておきましょう。
債券は、投資家の収入源であり、通常は安全で確実な追加資産になります。低成長経済期には特にそうです。従来の経験則から言えば、ほとんどの投資家はポートフォリオの約3分の1を債券にするべきです。また、定年退職を目前に控えた人は、もっと投資するべきです。しかし、金利が上昇したら、すべての投資家は、債券、その中でも特にアメリカ国債への投資は減らすべきです。
経済状況が財政赤字によって大きな影響を受けていることを踏まえ、50歳未満の投資家は、ポートフォリオの20%を超えて債券に投資してはいけません。また、定年退職目前の人は有配株と優先株の購入を検討して下さい。保有する債券については、デュレーションの異なる債券を購入し、満期を「階段状」にして下さい。
そうすることで短期債券が満期を迎えた時に、高利回りの証券に再投資することが出来ます。また、個人向け地方債あるいは地方債投資信託を検討して下さい。購入する際は、地域を分散させ、デュレーションは5年未満のものを選んで下さい。課税対象となる債券があるため、アメリカ国債よりも一流社債や国際債券を優先して購入しましょう。
金利は下がり続けているわけですから、長期の借入金は固定して、短期証券に投資することで、負債は最低減に抑えられ、金利の上昇によって再投資が可能なものはその都度投資を繰り返すことで資産を残すことができるわけです。