海外ベストセラーを読む: 『10兆ドルのギャンブル』--アメリカの赤字処理の失敗と今使える投資戦略 - (page 7)

エグゼクティブブックサマリー

2012-05-19 12:00

コモディティを購入する

 コモディティ商品や不動産などの有形資産を持っていると、インフレが高まった時に得です。アメリカ経済にとって、目前に迫ったインフレはまだ現実味がないかもしれませんが、最終的に利益が得られるよう資産を準備することが重要です。ただし、確かに不動産を持つことは理にかなったことですが、不動産の購入には詳しい調査と綿密な計画が必要です。

 インフレの最初の兆候が見えると、投資家は「インフレショック」に苦しめられます。そして、最初の反応として、衝動的に株と債券を投げ売りし、コモディティ商品を購入します。インフレになると紙の資産を購入しようとする意志は削がれ、コモディティ商品がより魅力的になります。これまで、コモディティ商品の価格は、アメリカの物価上昇率が1%上昇するごとに、3.8%から10%の上昇をみせました。

 コモディティ商品をポートフォリオの少なくとも10%は所有することを考慮するべき理由は、インフレだけではありません。グローバル化が進み新興工業国が成長しているということは、原油や金属などへの需要が急激に高まることを意味します。それと同時に、エネルギー源や天然資源がますます枯渇しているため、そういったコモディティ商品の供給は必要に迫られるでしょう。

 中国やインドなどの新興国のコモディティ商品に対する需要と供給の予測データを調べて下さい。また、貴金属、エネルギー源、農産物や産業用原材料など幅広い種類のコモディティ商品の中からどれに投資するか選んで下さい。ポートフォリオに多様性を持たせたいと思っている投資家は、コモディティ・バスケットに基づいてファンドの株を購入することや、先物商品市場の価格を予測して投資することもできます。

(コモディティ・バスケット:ドルやユーロ、円といった複数の主要通貨で構成する「バスケット(かご)」に自国通貨を連動させる制度である「通貨バスケット」と同じ原理で、バスケットの中に主要通貨ではなく貴金属や原油、食糧などのコモディティを放り込んで通貨を構成するもの)

 先にもありました、コモディティ商品は金利が上がることに有利に働きます。そればかりか、エネルギー資源ひゃ金属は新興工業国の成長によって需要が増すために、投資には最適なものといえるでしょう。

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