山本社長は、「今年1月に東日本大震災とタイ洪水の影響により、年初計画を達成できないと報告したが、その際に第4四半期は1000億円の営業利益をあげて、リーマンショック以前の四半期業績に戻すとした。実際には、2011年度第4四半期には950億円の営業利益となり、営業利益率は7%強を達成。ほぼリーマンショック前の状況に戻った。攻めの構造改革が成果をあげ、リスク管理を徹底したことで達成できた」とする。懸念の電子デバイスも第4四半期には黒字に転換したという。
続けて「早い時期に通期での営業利益率5%を目標にしており、2012年度はまずは3%の営業利益率を目指す。顧客フロント力、SE力、技術力を強化し、グローバルにインテグレートされた企業として発展させる。2012年度は成長に向けた再スタートの年とし、市況の影響を受けない強い会社を目指す」と語る。
2012年度の連結業績見通しは、売上高が前年比1.8%増の4兆5500億円、営業利益が28.2%増の1350億円、経常利益は31.7%増の1200億円、当期純利益は40.5%増の600億円を目指す。
「上期はかなり厳しいとみている」(富士通の加藤和彦CFO)とするが、ネットワークプロダクト、電子部品、オーディオ・ナビゲーション機器などが伸長。下期には国内サービス事業の回復や、LSIの需要持ち直しなどをプラス要素に見込んでいる。
セグメント別では、テクノロジーソリューションの売上高が前年比2.2%増の3兆円、営業利益が5.1%増の1800億円。ユビキタスソリューションは、売上高が前年比0.5%増の1兆1600億円、営業利益は同25.4%増の250億円。デバイスソリューションは、売上高が前年比7.7%増の6300億円、営業利益は150億円の黒字転換を計画している。PCについては、前年比16%増の700万台を計画する。
2004年からSEと営業の一体化を図ってきた富士通であるが、クラウド時代の到来とともに、これを分離する体制へと大きくシフト。「富士通の強みであるSEの技術力、提案力を生かせる体制へと再構築する」(山本社長)といった取り組みも、2012年度の重要な取り組みになりそうだ。