減収減益から回復への道筋を探る富士通とNEC - (page 3)

大河原克行

2012-05-21 11:06

 NECの2011年度連結業績は、売上高が前年比2.5%減の3兆368億円、営業利益は同27.5%増の737億円、経常利益は420億円増の420億円、当期純損失は前年のマイナス125億円の赤字からさらに悪化し、1103億円の赤字となった。

 NECの遠藤信博社長は、「期初計画からの大幅な下方修正、2期連続の最終赤字、無配となった責任を重く受け止めている。超円高、東日本大震災、タイの洪水などに対して、スピードが十分ではなかった。また、スマートフォンの競争力不足、タイ洪水の影響によるプラットフォーム事業および電子部品事業の悪化などが影響した」と説明した。また、繰延税金資産の見直し、405億円の構造改革費用の計上、タイの洪水被害により売上高で約200億円、営業利益で約80億円の影響があったことも業績に影響している。

 だが、その一方で「個人向けPCの非連結化を除けば、売上高は前年比1%増」とするなど、実質的には増収であることも強調してみせた。

 セグメント別業績は、ITサービス事業の売上高は前年比1.6%増の8169億円、営業利益は181億円増の395億円と増収増益。官公庁、自治体、医療機関、製造業でビジネスが堅調だったことで増収となったのに加え、費用削減や不採算案件の減少などにより増益になった。タイの洪水影響を受けたプラットフォーム事業の売上高は0.9%減の3724億円、営業損失は36億円減の52億円。ワイヤレスブロードバンドアクセス(WBA)、モバイルバックホール(MBH)、海洋システム、サービス&マネジメントの4重点領域で成長したキャリアネットワーク事業の売上高は4.5%増の6330億円、営業利益は154億円増の561億円。放送、消防・防災などの社会システム分野が好調な社会インフラ事業の売上高は3.6%増の3304億円、営業利益は16億円増の162億円。また、個人向けPCの非連結化などで減収となったが、開発費の効率化、費用削減効果がみられたパーソナルソリューション事業の売上高は13.8%減の6610億円、営業損失は29億円増の10億円となった。

 一方、2012年度通期業績見通しは、売上高が前年比3.7%増の3兆1500億円、営業利益は35.6%増の1000億円、経常利益は66.5%増の700億円、当期純利益は前年の240億円の赤字から黒字転換し、200億円の黒字を見込む。

NECの遠藤信博社長
NECの遠藤信博社長

 「上期は赤字見通しとなるが、各セグメントにおける構造改革の断行と注力分野への集中投資、事業機会をとらえた成長基盤の構築によって、通期では営業利益1000億円、最終利益200億円を達成し、復配を目指す」と遠藤社長は意気込む。

 キャリアネットワーク、社会インフラでは2桁の売り上げ増を見込むほか、ITサービスでは営業利益率を前年の4.8%から6.7%へと高める計画だ。

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