減収減益から回復への道筋を探る富士通とNEC - (page 4)

大河原克行

2012-05-21 11:06

 さらに、2012年度には1万人の人員削減を含む事業構造改革に取り組み、「利益体質への転換のための構造改革、キャッシュフロー重視の事業体へと変革する」と、経営体質の強化も重要な課題となる。

 遠藤社長は、「IT産業全体では2%弱の市場成長が見込まれているが、当社は4%近い売り上げ成長を目指す」とする一方、「成長領域であるITサービス、ネットワーク、社会インフラ、エネルギーの4本柱に集中する」とし、この方針をもとに来年度からの次期中期経営計画の策定に乗り出すことも示す。

 ITサービスでは、スマートフォン関連設備への投資が加速していることに加えて、金融再編や大型案件の更改、国民ID制度などの国家プロジェクトへの参画などを視野に入れ、クラウド、ビッグデータ、スマート端末などにおいて先行投資を行う姿勢を強調。キャリアネットワークでは、LTE分野における海外市場の開拓、大型プロジェクトにおける海洋システムの強化など、社会インフラ事業では、セーフティ、宇宙、防災といった観点でのグローバル展開および新規事業の拡大が鍵になるとした。

 さらに、NECにとって新たな事業領域となるエネルギーでは、エネルギーユーティリティ事業に加え、電気自動車向け電極事業を軸として、同事業において売上高で前年比15.6%増の740億円、営業利益率は7〜10%を見込む。

 課題となるのは海外事業の成長である。2011年度実績で海外売上高比率が15.9%と、国内電機大手のなかで海外売上比率が最も低いのがNEC。裏を返せば、新興国を中心とした成長機会が大きいともいえよう。

 今後の成長戦略のなかで、グローバル化をどこまで実現できるかが注目される。

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