ビックデータ対応も大きな特徴となり、データの統合、プロファイリング管理、メタデータ管理の「SAP Data Services」により分散並列処理フレームワーク「Hadoop」環境にも対応する。SAPはこの日、ビックデータに関するパートナーエコシステムの拡大も発表している。
両氏ともに強調したのが高可用性だ。Sikka氏によると「8社のHANAのハードウェアパートナーのうち4社がマルチノードシステムの出荷を開始している」という。
SAP自身がサンタクララに構築した世界最大のHANA実装となるというBusiness Warehouseシステムでは、16ノードのx86サーバ「IBM X5」を100台クラスタ接続した。メインメモリは100Tバイト、x86コアが4000個、700Tバイトのパーシスタントストレージを持ち、SAPの最大顧客8社のBusiness Warehouseを丸ごと収容できる規模という。100億件のレコードに対するクエリの実行時間は300~500ミリ秒、アドホックの場合は800ミリ秒~2秒と報告した。
Platter氏によると、ここでは、取引所など金融業界に強いSybaseが開発したデータレプリケーション、ホットスタンバイなどの高可用性技術が活かされているという。サンタクララとのライブ中継では、システム運用中にサーバ数台の電源を切ったところ、HANAが内蔵する高可用性機能で事前設定されたスタンバイモードがオンラインになる様子を披露した。
Platter氏は「ハードウェアがボトルネックだった。こんなハードウェアが必要だった」と説明。ソーシャルメディア、センサ、POSトランザクションなどの利用例が想定されるという。
Plattner氏は、新しいアプリケーションの例として、ゲーム企業Big Portが多人数同時参加型オンラインゲーム「Battlestar Galactica(宇宙空母ギャラクティカ)」向けに開発するリアルタイムのターゲットマーケティングを紹介した。プロモーション担当者はゲームが始まるとリアルタイムで参加者の状況や売り上げデータを得られ、顧客セグメントを絞ってバーチャルグッズのオファーをする、というものだ。
「何が起こっているのかをリアルタイムでモニタリングし、オンザフライでの価格変更などの意思決定が可能となる」(Platter氏)
ここからはプラットフォームとしてのHANAになる
HANAは次々と対応を広げている。Platter氏はこの日、「Business One」が「Mac Mini」上のHANAで動くデモを披露した。Business Oneは小規模企業向けERPであり、HANAで動く初のERPとなった。Business OneのHANA対応は2011年秋の「China SAPPHIRE Now」で計画が明かされており、今回ベータ版が初のお披露目となった。すでに4社で稼働しているという。