本連載 では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで語った明言をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説する。今週は、先日米NASDAQに上場を果たし、直後に結婚を発表するなど話題をさらったFacebookのマーク・ザッカーバーグCEOと、スマートシティへの取り組みを語った富士通の生貝副社長の言葉を紹介する。(ZDNet Japan編集部)
「今後5年以内にあらゆるアプリケーションソフトがFacebookと連動する」
(米Facebook マーク・ザッカーバーグCEO)

米Facebook マーク・ザッカーバーグCEO
5月18日に米NASDAQ市場に株式上場を果たしたSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)最大手の米Facebook。利用者は世界で9億人を超え、知名度は抜群。弱冠28歳の創業者であるザッカーバーグ氏はまさしく「時の人」だ。そのザッカーバーグ氏が上場記念セレモニーで発言した中に、上記のようなコメントがあった。
コンシューマー向けではすでにさまざまなアプリケーションと連動しているFacebookだが、このコメントはビジネスアプリケーションも対象にしたものだろう。筆者には非常に刺激的に聞こえた。
というのは、かねてからSNSが企業向けにもフロントエンドのツールとして使われるようになり、社内では企業ポータル、グループウェア、ひいては顧客管理などの機能を併せ持ち、社外とのやりとりでは有効なマーケティングツールにもなるという方向に動くのではないか、と感じていたからだ。
筆者がそうした仮説を抱くようになったのは、グループウェア大手のサイボウズがこのところ果敢に展開しているクラウド型グループウェアにSNSの機能要素を積極的に取り込んでいるのを知ったからだ。今後、グループウェアとSNSの関係がどうなっていくかは分からないが、ザッカーバーグ氏の発言はそのあたりも見通しているように受け取れる。
ちなみに先頃、記者会見で話を聞くことができたサイボウズの青野慶久社長は、グループウェアとSNSの対比について、「企業向けのSNSとしては機能的にまだまだやれることが限られており、脅威に感じることはない。決定的な違いは、単に情報共有できるだけでなく、それによっていかに業務効率を向上させるか、をグループウェアでは徹底的に追求していることだ」と語っていた。
しかし一方で、「とはいえ、SNSの良いところはどんどん取り入れていきたい。すでにかなりの要素を盛り込んでいる。私たちが今、SNSの動きで最も興味深く見ているのは、ビジネスアプリケーションとどのように連携・融合していくか。その意味では、企業向けのSNSももっと普及していってほしい。そうすれば、ビジネスアプリケーションとソーシャルな機能の境界線上にどんな新しいビジネスチャンスがあるか、見えてくるはずだ」とも。青野社長の見方をSNS側からとらえると、ザッカーバーグ氏の発言になるのだろう。