ガートナー ジャパンは5月23日、世界のITアウトソーシング市場予測を発表した。2015年までは年平均成長率(CAGR)3.8%で推移し、2015年の市場規模は3538億ドルになると予測している。
2012年以降の世界のITアウトソーシング市場は、各地域の経済情勢やサービス技術の進展、ユーザー企業のグローバル化などの影響から地域ごとに異なる発展を遂げるだろうという。
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欧州ではギリシャやアイルランド、イタリア、ポルトガルでの経済見通しが不透明なことから大半のユーザー企業でコスト意識が高まるとしている。一部の企業では重要なアウトソーシングの意思決定を遅らせることが見込まれると分析する。コスト意識が北米でも高く、北米では持たざるITを志向するユーザー企業が多いことから、アウトソーシングのニーズは堅調に推移すると予測している。
日本では、運用コスト削減から業務効率化を目的としたアウトソーシングに対する需要が根強く、インフラからアプリケーションへと委託範囲の拡大も見込まれると予測。これらの状況から、日本市場はCAGR0.9%(ドルベースでは3.4%)で推移して、2015年には4兆2219億円になるとみている。
ITアウトソーシング市場では、ユーザー企業を取り巻く環境とIT支出動向のほか、“工業化”されたサービスやクラウドサービスの影響が徐々に顕在化していると説明している。これらのトレンドは主に市場規模よりも、プロバイダー間の競争環境を変化させる要因となっていると説明する。
Gartnerが発表した最新のITサービスプロバイダーの売上実績で2011年に高い成長率を維持したのは、売上高10億ドル以上の大手プロバイダーの一部、インド系プロバイダー、クラウド系プロバイダー、大規模な合併・買収を行ったプロバイダーという。伝統的なITインフラ基盤のアウトソーシングを提供しているプロバイダーの成長率は全体で6.5%と、市場平均の7.8%を下回っている。
順位 | 企業名 | 売上高 | シェア(%) | 成長率(%) | |
---|---|---|---|---|---|
2011 | 2010 | ||||
1 | 1 | IBM | 269億2300万 | 10.9 | 7.8 |
2 | 2 | HP | 151億700万 | 6.1 | 2.0 |
3 | 4 | 富士通 | 109億8100万 | 4.5 | 10.3 |
4 | 3 | CSC | 103億7400万 | 4.2 | 0.0 |
5 | 5 | Accenture | 65億3000万 | 2.6 | 18.2 |
そのほか | 1766億4000万 | 71.7 | 8.3 | ||
全体 | 2465億5500万 | 100.0 | 7.8 |