ブロケードコミュニケーションズシステムズは5月23日、新たな技術モデル「Software-Defined Networking(SDN)」に向けた戦略の概要を示すとともに、SDN戦略を推進するため「Brocade MLX」ルータシリーズと「Brocade NetIron」プラットフォームをハードベースで「OpenFlow」に対応させることを発表した。
SDNは、ソフトでネットワークの構成や機能などを定義できる。OpenFlowはSDNを具現化する主要技術の一つとされ、標準化団体である「Open Networking Foundation(ONF)」によって標準化されている規格。ネットワークインフラをプログラムベースで制御して、迅速なネットワークサービスの開発、導入ができるとして期待されている。今回のOpenFlow対応で、企業は100ギガビットイーサネット(GbE)性能を持つSDNを導入することが可能になる。
米Brocade Communications Systemsのサービス・プロバイダ事業担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのKen Cheng氏は「従来のネットワークは柔軟性が十分ではなく、階層型であり、いわば縦方向で最適化されているわけでネットワークのパラダイムシフトが必要になる」と強調。それが実現すれば、高い柔軟性、信頼性、拡張性が確保できるように最適化されたデータセンターの構築、資産の有効活用に結びつくネットワーク仮想化が可能になるほか、サービスのカスタマイズを迅速化したり、新サービスの開発などができるという。
同社が考えている戦略の基盤はSDNの普及だ。ただ、一気に現状を大きく変えようとの方針ではなく、まずはL2/L3スイッチのユーザー企業をイーサネットファブリックに移行させる支援をし、SDNに対応した製品、ソフトによるアップグレードなどを通じ、1年半から2年でさまざまなSDN関連製品などを投入し、SDNの本格構築を支援する。これらの施策で既存の投資を保護する意向だ。同社は、OpenFlowへの対応にあたり性能、ハイブリッド、将来への対応をキーワードとしている。
「ルータ製品は、OpenFlowを実装した上で100GbEのラインレートを実現でき、既存の装置の性能を損なわず、OpenFlowを活用できる。また、OpenFlowとL2/L3双方を同時にサポートするハイブリッド機能を備え、OpenFlowと非OpenFlowのポートを同一の環境内で利用することが可能だ。さらに将来、OpenFlowの仕様が変更されても、ハードベースで追従できる」(ブロケードのプロダクトマネジメント&マーケティング部 ダイレクタの佐宗大介氏)
ブロケード社長の青葉雅和氏は「OpenFlowが注目され始めた1年ほど前は、OpenFlowとイーサネットファブリックどちらを選ぶべきか、というような疑問がネットワークベンダーから上がったが、最近は状況が変わった。イーサネットファブリックはデータデンター内。OpenFlow/SDNはデータセンター間、ネットワーク仮想化というような使い方が主流になっている。データセンターはあちこちに設置され、地域により環境が異なっているので、データセンター事業者はこれらの効率化に取り組んでいる。OpenFlow/SDNは、そのようなニーズに応えている」と指摘、両者は共存するとの考えを示した。
Cheng氏は「この10年を振り返ってみると、サーバ環境で大きな変化があった。企業はサーバの仮想化が進む中でネットワークでも仮想化を望んでいる。我々は、このような潮流をみて、ネットワークの仮想化を推進すべきであると考えている。インフラの制御がより改善され、企業はサービスをいち早く提供することができるようになるからだ。将来のネットワークは、SDNが導入され、クラウドに最適化されるという状況が、あるべき姿だろう」と述べ、OpenFlow/SDNに一層積極的に注力していく姿勢を鮮明にした。