安全なモバイルドキュメント管理はホットな課題
Bussmann氏はモバイルアプリ側の取り組みも説明。SAPは各機能のモバイル化を進めており、ここでもBussmann氏が率いるIT部隊が最初の顧客となっている。
ビジネスインテリジェンス(BI)、HANAのスピード、それにモバイルが加わることで、モバイル端末からBIを利用できるようになる。たとえば、売り上げ担当がデータをモバイルでこまめにチェックできるようになると、状況や文脈に合わせたスピーディーな意思決定が可能になる。「電子メールをチェックするように(BIを)利用するようになるだろう」(Bussmann氏)。スピードと利用しやすいユーザーインターフェース(UI)により「モバイルBIはキラーアプリになる」と予言する。
製品開発に貢献した例として、Bussmann氏はモバイルのドキュメント管理を挙げた。モバイルユーザーがよく利用する「Dropbox」などのサービスは便利だが、これらサービスはコンシューマー向けでパブリッククラウドを利用しており、機密情報の保存には懸念が残る。
そこで、エンタープライズが安心して利用できるようSAPのプライベートクラウドを利用したドキュメント管理を開発したという。ドキュメントを端末上で保存するとクラウド上にも複製され、他の人と共有することができるものだ。「安全なモバイルドキュメント管理はホットな課題で、この機能を求める顧客は多い」(Bussmann氏)。この機能は今後、Afariaに統合される予定という。
IT部門が社員向けに提供するアプリストアには、現在70種類以上のアプリがあるという。社内におけるモバイル端末の普及、アプリの数、BYODのサポートなどの面からみて、Bussmann氏は「この規模のモバイル化を実現している企業はあまりないだろう」と胸を張った。懸念の多いセキュリティについては、Afariaのようなモバイル端末管理(MDM)の利用が必須だと助言する。
「端末を設定し、セキュリティポリシーを実装し、端末利用についてルールを持つ。その後も、継続的なモニタリングによりあらゆるセキュリティ侵害をチェックする」(Bussmann氏)
実際、数週間前に何者かがハッキングを仕掛けていることがモニタリングで判明し、対象端末をネットワークから外したと説明する。モバイル端末は、ノートPCよりも場所の確認が簡単で管理しやすい点も強調した。
Bussmann氏をはじめとしたチームは、このようなモバイル化の経験をはじめとしたさまざまな自分たちのエクスペリエンスを、Twitterやブログなどのソーシャルメディアを利用して共有している。「モビリティでのわれわれの取り組みは活発で先進的であり、エクスペリエンスが役に立つとフィードバックをもらっている」(Bussmann氏)。新しいコミュニケーションチャンネルの利用が顧客企業との関係構築やマーケティングによい効果をもたらしているようだ。
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