“クラウドのサイロ”が問題に
――新戦略でのBusiness ByDesignの位置付けはどうなりますか?統合スイートを求める顧客にはBusiness ByDesignが素晴らしい選択肢となるだろう。通常ミッドマーケットの顧客で、ここ数カ月は特に大企業の子会社にフォーカスしてきた。本社がSAPを利用しており、本社と接続していない子会社がターゲットになる。

たとえば新規に子会社を立ち上げるにあたって数週間で稼働できるのは大きな魅力だ。子会社市場はあまり開拓されていない、すばらしい市場だ。今後、SAPのクラウド戦略において重要な市場となるだろう。
クラウドの統合スイートという点では、このほかにも小規模企業向けのSaaS「Business One OnDemand」を春に発表した。これは25人までの組織向けとなり、それ以上の企業にはBusiness ByDesignを提供する。これ以外に、パートナーがホスティングする「Business All-in-One」もある。
――クラウドではSalesforce.comなどの専業ベンダーが積極的に市場を引っ張っています。ここ6~7年、多数のSAPユーザーが特定の機能を利用するために他のベンダーのSaaSを選択した。今回のSAPPHIREでは“もうその必要はない”というメッセージを伝えたい。
われわれは高速に実装できるSaaSのポートフォリオを揃えた。ビジネス中心で、すべてにソーシャル要素が組み込まれている。これを既存のコアシステムに統合できる。ここは、Salesforce.comなどクラウド専業ベンダーとの差別化になる。実際、Accentureなど複数が調査レポートで指摘しているが、複数のクラウドを導入した企業は“クラウドのサイロ”ができ、統合の問題に直面している。
既存顧客向けとしては、2011年秋に発表した「NetWeaver Landscape Virtualization Management」も画期的なものになると思っている。これは、自社のSAP Business Suiteランドスケープを仮想化して、開発やテストに利用できるという管理機能で、ビジネス運用の経済性を土台から変えるものになるだろう。
われわれは製品を用意し、顧客は自社の準備が整ったら導入することができる。クラウドに移行する準備ができていない顧客は、既存のオンプレミスを仮想化し、プライベートクラウドで試用できる。クラウドがもたらすコストや柔軟性のメリットを体感した後、次の段階に移行することができる。
――Business ByDesignをはじめ、クラウド製品の日本での提供が遅れています。日本市場について教えてください。クラウドは息の長い長距離競走で、いずれ“ティッピングポイント”(ある時点を境に一気に全体へと普及する時点を指す)を迎えるだろう。
日本企業はミッションクリティカルなレガシーシステムを抱えており、欧州、米国などとともに“古い世界”に分類されると思っている。途上国が中心の新しい世界にはレガシーがなく、すぐにクラウドを導入するが、古い世界はそうはいかない。
21世紀のCIO(最高情報責任者)は、これまでのシステムを管理する人から、ビジネスバリューを提供する人に変わった。われわれのCIO(Oliver Bussmann氏)が良い例だ。システムメンテナンスやコストだけを考えていない。企業にビジネスバリューをもたらすことを考えている。このような考え方が求められている。
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