6)大企業は、クラウドプロバイダーの提供する自動化サービスとプロビジョニングサービスを最大限に活かすような方法を見極めなければならない。そうすることで、パブリッククラウドのプロバイダーが提供し、今やコモディティとなりつつあるクラウドサービスを高いコストをかけて自ら構築するような車輪の再発明を避けられるようになるわけだ。
またクラウドプロバイダーは、サービスの組み合わせによって自らを差別化することになる。核となるインフラやソフトウェア、プラットフォーム、ストレージ、ネットワークといったサービスは時とともにコモディティになっていくだろう。大企業がサービスプロバイダーに望むのは、一部の業界ウォッチャーが「運用サービス規約」(OSA)と呼んでいるものとなる。これは標準的なSLAの後継に当たるものであり、これによってアプリケーションのパフォーマンス指標が保証されるようになるとRubin氏は述べている。
7)大企業は、オンプレミス(社内)のクラウドとハイブリッドクラウドの縦断的なマネジメント方法を見つけ出す必要がある。この問題を解決するさまざまなツールが登場してきている。従来型のエンタープライズシステムのマネジメントを行っている企業は、いまだにこういった問題に取り組んでいるため、答えを出すにはまだ時期尚早であると言えるだろう。しかし、クラウドのマネジメント企業であるNetScoutのマーケティング担当バイスプレジデントであるSteve Shalita氏は、ハイブリッドクラウドを縦断した展望の確保、そしておそらくは共通のコンソールが、エンドツーエンドのマネジメントとともに重要になってくるだろうと述べている。
8)RackspaceのEngates氏によると、大企業はクラウドサービスプロバイダーに対して透明性と開放性を要求するべきであるという。データやアプリケーションがデータセンターと複数のクラウドプロバイダー間で分断された場合、大企業にとって大きな懸念が生み出されるという。なおRubin氏によると、こういった懸念は、クラウドプロバイダーがクラウドデータセンターの運用方法を大企業に理解してもらうことで、解消に向かう可能性があるという。
パブリッククラウドおよびプライベートクラウド向けのオープンソースプラットフォームであるOpenStackの設立にかかわり、その後支援を続けているEngates氏は、「クラウドプロバイダーは(彼らのクラウドが)極秘事項であり、ずっと秘密のままにしておきたいと感じる時がある。それではまるで黒魔術のようだ。・・・誰もデータセンターがどのように機能しているのかを知らない」と述べている。しかし、同氏によるとこういった「秘密のベール」によって顧客の心に疑いと恐れが生み出されるのだという。Engates氏は「われわれは異なるアプローチを採っている。われわれはソフトウェアをオープンなものにし、データセンターの設計もオープンなものにしたいと考えている」と述べている。