アイ・ティ・アール(ITR)が6月5日に発表した調査結果によると、2010年度の国内の人材管理市場は出荷金額が7億7000万円という。市場規模は小さいが、前年度比55.6%増と大きな伸びになっている。グローバル規模での人材管理需要の高まりで、2011年度も引き続き前年度比48.1%増を予測している。
2010年度からトップに浮上したカシオヒューマンシステムズが2011年度も順調にユーザー数を拡大させており、前年度比75.0%増と大幅に出荷金額を伸ばしてトップを堅持して、シェアも拡大すると見込んでいる。
2位のサイエンティアは、同社の人事関連コンサルティング業務から得たノウハウを基盤に着実にユーザー数を拡大させている。2011年1月から中堅中小企業を対象にしたSaaSを提供している。3位には海外で多くの導入実績があるシルクロードテクノロジーが、国内でサンブリッジとの協業に加えて、2011年7月からSaaSで事業を展開し、順調にユーザー数を拡大させている。
ITRのアナリストである大杉豊氏は「日本企業の多くは従来の年功序列型の人事制度がまだ根付いているが、国内市場が縮小している。グローバル化で新しい人材を活用したいとのニーズが高まっている」と市場を分析。「企業は組織横断の人材活用が必要となり、企業風土でもイノベーションが求められている。こうした背景から、国内でも人材管理市場は急速に拡大している」と説明する。
ITRの調査は人材管理のほかに人事管理や就業管理、就労者スケジューリングプログラム(Labor Scheduling Program:LSP)、給与アウトソーシングの国内ベンダー43社を調査。結果を「ITR Market View:人事・就業・給与アウトソーシング市場2012」として発行した。