IDC Japanは6月11日、国内のアプリケーション開発/ライフサイクル管理ソフトウェア市場の2011年の実績と2016年までの予測を発表した。2011年の同市場は前年比2.5%増の718億2500万円という。
同市場は、アプリケーション開発支援ソフトウェア市場とプロジェクト/ライフサイクル管理ソフトウェアで構成される。2011年の市場規模の内訳を見ると、それぞれ前年比2.3%増の530億1300万円、前年比3.1%増の188億1200万円。2011~2016年の両市場は、年平均成長率(CAGR)9.9%、4.2%で推移して、2016年には849億3500万円、230億7500万円と予測している。
2012年の国内のアプリケーション開発/ライフサイクル管理ソフトウェア市場は、前年比7.5%増の772億2200万円になる見込み。

市場機会としては、スマートフォンやタブレットの成功でノートPCで稼働するアプリケーションから多様なモバイル端末プラットフォームで稼働するアプリケーション開発ニーズへの対応が期待されているという。バックエンドのクラウドと一体化したウェブアプリケーションやブラウザアプリケーション、ソーシャルメディアをプラットフォームとするアプリケーションの開発が活性化することも予想されている。
IDC Japanの冨永裕子氏(ソフトウェア&セキュリティシニアマーケットアナリスト)は「アプリケーション開発支援ソフトウェア市場では、開発プラットフォームの新旧世代交代が市場成長にマイナスの影響を及ぼすが、それを上回るクラウドの適用やモバイル端末への対応というプラス材料が市場をけん引することが予想される」と説明。その上で「ただし、同市場の中核はコモディティ化が進展している製品の売り上げであり、既存技術にのみ依存する製品ベンダーは中長期的な収益性確保に苦心する」と見通している。
「プロジェクト/ライフサイクル管理ソフトウェア市場は、ソフトウェアの開発稼働環境に依存しないという点で、製品ビジネスを発展させていく潜在力が大きい。ベンダーは、確実な製品受注に結び付けるために、アプリケーション開発支援ソフトウェアのほか、統合運用管理製品ビジネスで培ったパートナー企業を活用する組織体制を作らなくてはならない。製品販路を拡大するには、投資効果を理解できるパートナー企業との協力体制の強化が不可欠」(冨永氏)