現実解のハイブリッドクラウド見据える--ウル、データ連携基盤でコンサル

田中好伸 (編集部) 2012年06月12日 17時03分

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 パブリッククラウドかプライベートクラウドか――。クラウドコンピューティングが日本が上陸した頃、よく交わされた議論だ。こうした議論は今も続いているが、実際には、その中間にあるハイブリッドクラウドが現実的な解決策として存在感を高めつつある。

 企業にとって情報システムはビジネスに回すために欠かすことができないものと認識されている。だが、その一方で、情報システムは企業の経営層には“金食い虫”と映る。つまり、企業のIT部門はコスト削減の圧力に絶えずさらされている。

 そのため、IT部門はより少ないコストで賄えるパブリッククラウドの活用を検討、導入を進めている。では、すべての情報システムをファイアウォールの外側、つまりパブリッククラウドでやってしまえばいいのではないか。

 そうした声もない訳ではない。だが、企業の財務情報や顧客情報、知的財産などの機密情報、それらすべてのデータをパブリッククラウドに預けてしまうのもためらわれる。

 年間のIT投資の7~8割がシステムの運用管理に費やされるという、無視することができない現状もある。本来的にIT部門の仕事は、企業が成長するために必要とされるシステムを新たに企画、設計することであり、経営層もそうした期待を持っている。結果として、企業にとって非中核のシステム、競争力優位にはつながらないシステムはパブリッククラウドに任せようという動きが実際に出てきている。

 こうしたさまざまな背景から、パブリックかプライベートかという二者択一の選択ではなく、年間のIT投資が限られている以上、資金も含めた資源の効率的活用策としてハイブリッドクラウドを選択せざるを得ないのである。

 プライベートクラウドあるいは社内運用(オンプレミス)とパブリッククラウドを併用していくハイブリッドクラウドになるのは現段階で当然の結論としても、セキュアにデータをやり取りするにはどうすべきか? パブリッククラウドと、ファイアウォールの内側にあるオンプレミスやプライベートクラウドのシステムを連携させるために個別に開発しているが、今後もそれでいいのか? オンプレミスとクラウドを行き来する複数のシステムを効率的に連携させるためにはどうすべきか?(効率的にシステムを連携させるためのクラウドを導入するために、手間をかけていてはそれこそ本末転倒だ)

 そうしたニーズをとらえて、ウルシステムズはデータ連携基盤の導入が効果的として、仏のTalendとの協業を発表している。具体的には、オンプレミスとクラウドを連携させるためにデータをセキュアに、そして高速、柔軟にやり取りすることを狙って、データを抽出、変換、ロードする、ETLツールをデータ連携基盤として導入する際のコンサルティングをウルシステムズが提供する。

 今回の協業でウルシステムズは、自社のテクノロジーセンター内にデータ連携基盤の専門チームを設置すると同時に、データ連携基盤の設計や導入支援のコンサルティングをユーザー企業に提供する。システムの概念実証(Proof of Concept:PoC)から構築も支援する。Talend側は、ウルシステムズと共同でTalend製品の保守サポートサービスも提供する。

 ウルシステムズのテクノロジーセンターのセンター長を務める芝田潤氏(プロフェッショナルサービス第5本部本部長も兼務)は「システムの複雑性を防止してシンプルにするには、データ連携を基盤化した方が得策」とデータ連携基盤のメリットを話す。

 かなり減少したとはいえ、いまだにメインフレームを稼働させている日本企業は少ないとは言えない。同様に、クライアントサーバ(C/S)システムを稼働させている企業もまだまだ存在するし、その一方でウェブアプリケーションを中心に据えている企業もあるだろう。統合基幹業務システム(ERP)のようにパッケージで組んだシステムもあれば、手組みで構築したシステムも稼働中というところも多いはずだ。

 つまりは「開発年代やアーキテクチャの異なるシステムが混在している」(芝田氏)。だが、問題はそれだけではない。業務ごとにサイロ化してしまったシステムもあるだろう。この1~2年では、IT部門が与り知らないところで、ユーザー部門が勝手にSaaSを中心にパブリッククラウドを導入、稼働させている企業も増えているだろう。

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