今週の明言--市場活性化へ動く業界団体の意気込み - (page 2)

松岡功

2012-06-13 14:43

 新団体については代表幹事を務める三木谷氏の思い入れも強いようだが、ネット関連企業を中心とした新経済連盟、そしてシステム系販売店を中心とした日本コンピュータシステム販売店協会と、それぞれの立場で積極的な活動を行ってIT業界全体が活気付くのならば、結構なことである。


「“デジタルセルフ”がこれからのマーケティングにおいて非常に重要な要素になる」(米Adobe Systems Brad Rencher シニアバイスプレジデント)

 アドビシステムズは6月7日、デジタルマーケティングをテーマにしたプライベートイベント「Adobe Innovation Forum 2012」を都内ホテルで開催した。Rencher氏の発言は、その基調講演で、米国本社シニアバイスプレジデント兼デジタルマーケティング部門ゼネラルマネージャーとして、デジタルマーケティングの今後の方向性を示唆したものである。

写真2 米Adobe Systems シニアバイスプレジデント Brad Rencher氏

 同氏が語る「デジタルセルフ」とは、ネット上で受発信されるさまざまな情報が蓄積されて浮かび上がってくる“自己像”といったイメージの言葉だ。ソーシャルメディア上での自分にまつわる情報を思い浮かべると分かりやすいかもしれない。このデジタルセルフが今、ビッグデータの大きな要素になりつつある。

 では、デジタルセルフをマーケティングに生かすためにはどうすればよいか。そのキーワードは「パーソナライズ」、すなわち、顧客ごとに最適化したコンテンツを提供することである。マーケティング分野からみると、パーソナライズへの取り組みは以前から行われてきた常套手段の一つだが、このところの技術革新によって、その新たな需要が大きく膨らみつつあると同氏は語る。

 ではさらに、企業が実際にパーソナライズしたマーケティング施策を行うためにはどうすべきか。同氏はこれもまたキーワードとして、「データ」「コンテンツ」「オプティマイゼーション(最適化)」の3つを挙げた。すなわち、アクセス解析やソーシャルメディア解析などのツールによって顧客のデータを取得、分析し、顧客ごとの属性や環境に最適化したコンテンツを提供することが肝要だという。

 同社は今、事業領域としてデジタルメディアとデジタルマーケティングの2分野に注力しているが、デジタルマーケティング事業を本格的に推進するようになったのは、関連企業を買収した数年前のことだ。ただ、デジタルメディアのノウハウがベースにあることから、デジタルマーケティング分野でも急速に存在感を増しつつある。

 同社はこれまで数々のユニークなヒット商品を生み出し、確固たるブランド力を発揮し続けてきた。1983年の米国本社設立時から、その歩みを知る筆者としては、業容の変化に隔世の感もあるが、Rencher氏の講演を聴いて、クリエイティビティを最重視する同社の姿勢は変わっていないと感じた。ビッグデータ時代到来という追い風に乗って、デジタルマーケティング事業をどこまで伸ばせるか、注目しておきたい。

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