米カリフォルニア州サンディエゴに本社を置くクラウドベンダー、キリバ(Kyriba)は、資金、財務取引、支払などをリアルタイムで管理するためのクラウドサービスを提供している。資金管理に特化したSaaSベンダーといえよう。
そのキリバが、サンブリッジと合弁で日本法人キリバ・ジャパンを設立した。
サンブリッジは、多数のIT企業を国内に根付かせた実績をもつベンチャーキャピタル。クラウドベンダーでは、セールスフォース・ドットコム、シルクロード テクノロジー、コンカーと日本で合弁企業を設立、各社の国内展開を支援している。
来日したKyribaの最高経営責任者(CEO)ジョンルーク・ロベール(Jean-Luc Robert)氏、サンブリッジ代表取締役会長 兼 CEOでキリバ・ジャパンのCEOに就任したアレン・マイナー(Allen Miner)氏、キリバ・ジャパンの最高技術責任者(CTO)石黒直裕氏に、キリバ・ジャパン設立の背景などを聞いた。
敵は企業ではなく「エクセル」
--米キリバが設立された背景は
ロベール氏:キリバは2001年に欧州と米国のソフトウェア企業から分社化する形でスタートした。当初は銀行向けに資金管理のソフトウェアを提供し、銀行が自身の顧客企業にサービスを提供するというB to B to Bの形態をとっていた。
私は2003年にキリバの運営に参画したのだが、(事業に)多少問題があった。そこで、SaaSで資金管理を提供するモデルは続けようと考えたが、対象を銀行ではなく企業に変えた。
マイナー氏:企業への直接販売に切り替えた。
ロベール氏:そう、直販に変えたのだ。製品化を終えて欧州で販売を始めたのが2005年、米国では2007年末から販売した。
--資金のリアルタイム管理をSaaSで提供するベンダーは、あまり聞かない。どの企業を競合だと考えているか?
ロベール氏:グローバルで見ると、競合と言えるベンダーはないと思っている。というのは、キリバはソリューションをSaaSモデルで提供している。他の企業は従来型のライセンス契約のビジネスだ。
石黒氏:日本の場合、SAPやサンガードのパッケージはある。だが、(これらの企業の製品を導入しようとすると)すぐに5億円くらいかかってしまう。私の経験では、日本の大企業では1割くらいが(ライセンス型の製品を)使っている。そして、残りの9割がいまだにExcelで管理している。その9割が我々のマーケットになり得る。