試験的導入におけるBYODにおいても最低限の端末管理は必要
「社内向け」の活用はさらに「企業所有の端末を利用する場合」と「個人所有の端末を利用する場合」に分けられる。(冒頭の図版の縦軸による分類)後者は昨今話題に上ることも多い「BYOD(Bring Your Own Device)」に該当する。
スマートデバイス活用については、ユーザ企業側もまだ手探り状態であることが少なくない。そのため企業でスマートデバイスを調達する際にも、いきなり全社導入に踏み出すわけにはいかないだろう。そうした時、社員が既に所持しているスマートデバイスを活用できればコスト面でのメリットは大きい。だが、その一方でセキュリティ面が大きな課題となる。この「端末の所有者」という軸についてはどのように考えればいいのだろうか?
その1つの指針を示してくれるのが、以下のグラフである。これは年商500億円未満の企業に対し、スマートデバイス管理状況とその導入効果を尋ね、それらの相関をプロットしたものである。
この結果を見ると、「端末の所有者が誰か?」よりも「端末の管理を誰が行うか?」の方が導入効果により大きな影響を与えていることがわかる。BYODを実践しているサンプル数が少ない点に注意が必要だが、「自社で購入したが、管理は個人任せにしている」といった状態より「個人で購入したが、管理は企業で行っている」という方が高い導入効果を期待できる可能性がある。
BYODによって端末の調達コストを削減できたとしても、端末が管理されていないことで適用業務が大きく狭まってしまっては本末転倒だ。スケジューラ閲覧など差し障りのない活用範囲に留まったのでは、自社ビジネスの改善に結びついた活用シーンを見出すことが難しくなってしまう。つまり、スマートデバイスの試験的な導入においてBYODを実践したとしても、真に効果的な活用シーンを見出すためには最低限の端末管理を行っておくべきといえるだろう。