4番目は「時間という新しい通貨」である。映画になった『マイノリティ・リポート』の原作者フィリップ・K・ディックの作品に登場する「Pre-Crime」という言葉を引き合いに、Curry氏は予測の重要性を強調する。また、監視、情勢判断、意志決定、行動の各サイクルを繰り返すというプロセス「OODAループ」を紹介し、例えば「データの異常パターンを見て意味を見出す」という経験と知識から得られる情報から行動を起こす重要性を指摘する。
5番目が「新しい考え方」。Curry氏は「善良なコミュニティをうまく組織することでパワーを生み出せる」と指摘する。例としてあげるのがハチの集団だ。ハチは針で敵を刺すと、針が抜けて死んでしまうが、「なぜ死ぬことが分かって刺すように進化したのか」(同)。これは個体としてのハチの生命よりも、集団の価値の方が大きいからだ。「ハチの集団が成功する確率は、一匹のハチが死ぬことで高められる」とCurry氏。これがコミュニティ効果で、こうしたコミュニティ作りに注力すべき、という。
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こうしたコミュニティで「最も希少で難しいのが人員」とCurry氏。ツールを導入して自動化できても、犯罪者よりも早く分析し、対応しなくてはならない。既存の知識だけでなく「スキルセットも変えなければならない」とCurry氏。
セキュリティにまつわる人材は「ネットワークやシステムの管理をするIT管理者と、MBAを取るような人の二股に分岐している」が、セキュリティの人材のキャリアパスを考えることが企業の利益にもなるとCurry氏は強調する。
こうした5つのトレンドを踏まえ、Curry氏は、セキュリティでは、さまざまな技術やスキルの組み合わせが必要で、効果が大きいと話す。「ネットワークに侵入されても世界の終わりではない」とCurry氏。リスクを可視化し、管理することで信頼性を向上させることができると強調している。
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