兵庫県の神戸市危機管理センターは、運営する「神戸市危機管理情報システム」の共通基盤を仮想環境で構築、4月から稼働させている。共通基盤を構築したネットワンシステムズが6月20日に発表した。
以前、神戸市が危機管理に使用していたウェブシステムは、過去に発生していた既知の災害を想定して構築されていた。そのため、柔軟性に欠けることから2009年5月の新型インフルエンザへの対応では、うまく活用することができなかったとしている。
神戸市はこうした反省から、危機管理センターを整備すると同時に、危機の種類に関係なく情報を流通させるために、危機管理情報システムを検討している。
結果として、(1)どのような情報を誰に送信するかを制御する「初動判断システム」(2)あて先が決定した情報を市役所内PCに伝達する「緊急連絡システム」(3)あて先が決定した情報を職員の携帯電話に伝達する「職員参集システム」(4)表計算シート上で職員が作成する情報をまとめる「自動集計システム」(5)表計算シート上の情報を補助的に地図上に展開する「地図表示システム」――という5つのシステムを新しく構築することを決定した。
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神戸市は、導入費と運用費の削減を目的に、危機管理情報システム全体を一括で発注するのではなく、業務システム単位での導入することも検討。5つの業務システムをサービス指向アーキテクチャ(SOA)で独立性を高めた結合するとともに、各業務システムが稼働する仮想マシンを提供する共通基盤システムを6番目のシステムとして採用することも決定している。
神戸市は6つのシステムを個別に競争入札で調達。共通基盤をネットワンが落札した。共通基盤システムは、Ciscoのスイッチ、VMwareのハイパーバイザで仮想サーバとストレージ、XML/SOAPを活用したデータ連携ソフトウェアで構成されている。各業務システムが共通で利用する職員関連データも格納している。
導入費は当初想定の50%以下に抑えることに成功しているという。仮想環境を導入することで、ハードウェアやOSの更新周期に依存することなく、業務システム主導の管理、更新が実現され、各業務システムの信頼性向上も実現していると説明する。