そして3つめが、アップル側から販売数量のコミットを求められる点だ。
山田前社長は「iPhoneの取り扱いを開始すると、スマートフォンの半分以上を売って欲しいといわれる可能性がある。ドコモは、2012年度に1300万台のスマートフォンを販売する目標を掲げているが、そのうち半分以上をiPhoneにしなくてはならない。当社の戦略の中では難しい」とする。
実は、同様にドコモのサービスが利用できない仕組みとして、ソニーのPlayStation Vitaがある。
株主からは、「アップルが駄目であるのに対して、ソニーのPlayStation Vitaはいいのか」という質問も飛んだ。

山田隆持前社長
これに対して、山田前社長は、「Vitaでは、何台売らなくてはならないという制約がない」とする。そして、山田前社長は、「iPhoneは競争相手であり、なんとしてでも凌駕するということでがんばっていきたい」とする。
だが、iPhoneを完全に諦めたのかというと、決してそうとはいえない。山田前社長は、「もし、アップル側で環境が変わったら、iPhoneを導入したい」などとも語る。販売台数のコミットがなければ、いつでも扱いたいという姿勢だ。
株主総会の翌日の6月20日に新社長として会見に臨んだ加藤薫氏も「iPhone、iPadは、素晴らしい端末だ。ラインアップの1つとしてそろえたいが、条件が整わない。しかし、条件が変われば可能性はある。決して嫌だというわけではない」などと語っている。
問題はアップルの戦略次第というわけだが、アップルが方針転換する可能性は低いといえよう。ドコモには、本音は扱いたいという気持ちが、今でも見え隠れしている。
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