Scott氏は「バックアップ速度で3倍、リストア速度で5倍——EMCで1週間かかるリストア作業を、HPであれば1日以内で完了できる。EMCはデデュープ技術でのリーダーシップを取ろうと試みたが、その天下は数週間に終わった」と述べ、強力にHPの優位性をアピールした。
さらに、バックアップシステムについて、EMCからHPへの移行を成功させた企業として、米国の携帯電話会社であるmetroPCSの事例を紹介した。同社では、EMCのAvamar、CLARiiON、Centeraによるストレージ環境を、HP StoreOnce B6200 with Data ProtectorおよびHP 3PAR with X3800 NAS Gatewayへと移行することにより、約1100万ドルのデータ保護コストを削減することに成功したとする。
移行によって、以前は5つ存在したバックアップシステムを1つに統合。必要なラック数も10ラックから3.5ラックに削減し、電力コストを75%、ストレージコストそのもののコストも40%削減できたという。
Autonomyの技術で実現する「意味ベース」のバックアップ
パフォーマンス面に加えて、「データバックアップのプロセス自体も壁に突き当たっている」とScott氏は続けた。
情報環境の変化に伴って、企業がバックアップすべきデータの量が増大するとともに、その種類も多様化している。従来のトランザクションデータに加え、特に増加量が著しいのは、テキストや映像、音声データなどの「ヒューマンインフォメーション」、いわゆる「非構造化データ」だ。
こうした非構造化データの増大によって、システム単位でのレガシーなバックアップ/リカバリプロセスは限界を迎えつつあるというのがHPの主張だ。Scott氏は、その限界を超えるための答えのひとつが「意味ベースのデータ保護(Meaning based protection)」であるとする。
このソリューションの核となるのは、HPが2011年に買収したAutonomyの情報管理プラットフォーム「IDOL10」である。HPでは、このIDOL10の意味認識エンジンと、バックアップ/リカバリソフトウェアである「HP Data Protector 7.0」を統合することで、データに含まれる「意味」を考慮したバックアップ/リストアを実現できるとした。
Scott氏は「IDOL10とData Protectorの統合により、世界で唯一の『意味ベース』のバックアップソリューションが実現する」と言う。例として挙げられたのは、すべてのバックアップデータの中から「Meg Whitman」に関する情報をピックアップし、リカバーするといった場合だ。この際には、名前の文字列そのものが含まれるデータだけではなく、特定の年代の「HP's CEO」について言及しているデータもピックアップ対象とできる点が「意味ベース」のゆえんであるという。
「このソリューションにより、リカバリのプロセスをより高度化できるとともに、電子情報開示制度であるeディス化バリへも容易に対応できる」(Scott氏)