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「戦闘」から「戦争」へ - (page 3)

三国大洋

2012-06-29 10:00

 この点については、ジャン・ルイ・ガセー(Jean-Louis Gassee)——そう、「BeOS」のあのガセーが、自分のブログで面白いことを書いている。

 曰く、「価格も明確な発売時期も決まっておらず、機能の作り込みもまだ途中の新製品を発表するというのは、いわゆる『FUD』(Fear Uncertainty and Doubt)なのかもしれない。でも、それなら年末商戦の開始を目前にした10月半ばあたりの方がもっと効果がありそうだ……これほど急いだ理由の一端は、グーグルの自社製タブレット発表をにらんでのことかもしれない。しかし、グーグルが出してきた製品をじっくり調べ上げた後で、十分準備して反攻に出てもよかっただろうに……」(註5)

 「後出しジャンケン」のほうが有利というガセーの意見には、たしかに一理あるようにも思える。しかし、グーグルに先出しされてしまうと「いよいよ、まずくなる」という考え方があってもおかしくない。

 これはあくまで1つの推論ということになるが、マイクロソフトには「せめて2位にはなっておかないと」という思惑が働いたのではないかと、私はそんなふうに思う。

 マイクロソフトがいちばん怖れたのは、現時点のタブレット分野で「irrelevantな存在」とみなされ、あとでキャッチアップできなくなることではないかと思う。このrelevancyあるいはirrelevancyというのは、よく見聞きする言葉だが、いまだにしっくりとくる訳語が見つからない。あえて近いものを選ぶとすれば、「時代の流れから乖離している」「無視して構わない」といったものになるのではないかという気もする。

 昔から不思議に思うのは、米国人が「二者の対決」を大好きそうなことで、たとえば一番わかりやすい例は昔から続く「ペプシ vs コカコーラ」の戦い。かつての自動車市場くらいの規模があれば、「三大メーカー」みたいな例外もあり得ようが、それにしても3位クライスラーの存在感はかなり小さい。また、現在進行形の対決では「AT&T対ベライゾン・ワイアレス」、あるいは「iPhone対Galaxy S」みたいな「二強の対決」という例がすぐに浮かんでくる。もっとも、これはある種の経済合理性を求める心理と、市場競争を無くさないという気持ちがせめぎ合った結果なのかもしれないが。

 いずれにせよ、そうした傾向があるなかでは、3位以下には衰退の道しかなくなる。かつて——少なくとも4年前のリーマンショック前後からオバマ政権発足頃まで、「この世の春」を謳歌していた感もあったリサーチ・イン・モーション(RIM)の、この1、2年の凋落ぶりを思えば、3位以下のプレーヤーが置かれる厳しい立ち場を痛感しないわけにはいかない。自動車や電機といった分野だけでなく、他の多くの分野——たとえば流通やメディア関連でさえ、せいぜいが1億人ちょっとの市場で半ダースくらいの競合会社がなんとなく生きながらえている日本とは、その点が大きく異なると思う。

 マイクロソフトはすでにスマートフォンという重要な分野で、この3位以下の悲哀を痛感している。(次ページ「WindowsとOfficeを守るための最大の武器」)

註5:ジャン・ルイ・ガセーのブログ

First: Why now? Microsoft's agitprop specialists aren't new to the game. They know what happens when you show up with less than fully-baked devices and refuse to answer simple, important questions. Why not announce on, say, October 15th – the beginning of the Holiday shopping season — when they would have a better chance of running a FUD (Fear Uncertainty and Doubt) campaign against the opposition? Why the rush?

Maybe it's the expectation that Google will announce its own Android tablet at Google I/O later this week…but I find the argument unconvincing. Microsoft would have been better off letting Google speak first so they could analyze the product and come up with a sharply targeted counter, especially if Google ships much sooner than Microsoft.

Microsoft: Apostasy Or Head Fake?

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