BYODの流れを読み間違ったRIMの凋落
さて、米Computerworld誌が掲載したフォレスターの予測を紹介したい。この記事で紹介されているグラフの対象は、世界の法人市場(企業ならび政府による購入)だ。
あくまで予測だが、Wintel PCはすでに今年からマイナスに転じると予想されている。WirelessWire Newsでは、この予測を日本語で掲載している。
このBYODの流れについては、日本と他の国で「温度差」があるようだ。5月にジュニパーネットワークスがそんな傾向を示した調査結果を発表していた。
ソリューションを売り込みたいベンダーの調査であるから、その点は多少割り引いて考えよう。それにしても、BYODの勢いは増しこそすれ、停滞しているという印象は受けない。
この背景には当然、経済合理性がある。社員が自腹で買ったものを「職場でも使いたい」といっているのだから、わざわざ別に会社の経費で買ったものを支給する必要もなかろう、という考えだ。それと同時に、端末の管理やセキュリティ対策についても、企業側の懸念を減らす方向でいろんなプレーヤーが動いている。たとえば、サムスン電子は先ごろ「Galaxy S III」の職場浸透に拍車をかけるためのキャンペーンとソリューションの提供を発表していた。
また、米通信事業者最大手(携帯通信加入者では第2位)のAT&Tあたりも、BYODで積極的な手を打ってきているようだ。
こうなってくると、ますます攻撃側が有利という状況が展開することになるのは自然な流れ。守勢に立たされたリサーチ・イン・モーション(RIM)が「風前の灯」というのは、先週後半に話題になっていたところである。
RIMの凋落については、Twitterですでに「#ripRIM」というハッシュタグができているほどなのだが、わずか5年の間にどれほど大きな変化が起こったかは、ダン・フロマーがReadWriteWebに載せていたグラフからも感じ取れる。
また、WSJの記事にはRIMの株価推移(2008年6月19日のピーク時に147.55ドルをつけていたRIMMは、現在7ドル台前半)や、2007年に4割を超えていた米スマートフォン市場でのBlackBerryのシェアが現在3.6%にまで低下したことを示すグラフも載っている。
2008年の金融危機で、RIMが上得意としていたウォールストリート全体が失墜したという大きな要因はある。と同時に「BlackBerry Enterprise Service(BES)」のような大企業向けの鉄板のキーテクノロジーがあるから大丈夫と、RIMの経営幹部が高をくくっていたことも、ここまでダメージを大きくした原因のひとつだということは、さまざまなところで指摘されている。
このRIMの例は、典型的なdisruptされる側に回った企業の悲哀を端的に示したものと思う。
また今回も話が長くなってしまった。はやくXboxに関わる話をしなくてはと気が急くが、その前に頭の中を整理する目的で作った表をふたつ紹介したい。