アプリケーション障害の兆候を見極める5つの方法 - (page 2)

Sherman Wood (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2012-07-04 07:30

 例えば、Yahooのような企業は、ユーザーがニュースをチェックする、早朝のもっとも利用頻度が高い時間帯のトランザクション量に対応できるよう準備する必要がある。ゲームサイトであれば逆に、人々が仕事から帰って遊ぼうとする夜遅い時間にトランザクションが急増するかもしれない。こういったあらかじめ予想可能なキャパシティの変化は一般的な話だが、予期しない急増についてはどう対応したらよいのだろうか。これには、特定のアプリケーションの平均応答時間を常にチェックし、応答時間の増加が始まったらIT部門に警告を送る監視ソリューションが必要となる。

 また、アプリケーションの性能特性に関する本質的な理解も重要だ。株取引アプリケーションはトランザクションごとのデータは小さいが、時間帯や関連する出来事に応じてトランザクション量が大きく増える可能性がある。動画制作システムはトランザクション量ははるかに少ないが、巨大なファイルを扱う。アプリケーションの管理者が、必要とされているサービス水準を維持するための変更をちょうどいいタイミングで行うには、それらのファイル転送のタイミングと同じインフラ上の他の要求をよく考える必要がある。

4.共有インフラを管理する

 クラウドコンピューティングと仮想化技術の登場に伴い、多くの組織は共有の、動的なインフラ上でITを動かすようになっている。サーバ群およびストレージ群のプール上で仮想マシンが実行され、アプリケーションの負荷はビジネスルールに従って調整されている。このことは、2つのアプリケーションが同時に同じストレージドライブへのアクセスを要求した際、アプリケーションの競合問題を引き起こすことがある。ネットワークの最適化で問題は軽減されるが、IT部門がこの新しい環境でキャパシティ計画を行う際には十分に注意を払う必要がある。われわれの経験では、アプリケーションの問題は、アプリケーションそのものではなくストレージやデータベースのレイヤで起こることが多い。これらすべてのレイヤを見通す能力は、IT部門がプライベートクラウドで需要と供給の調整を進める上で助けになる。

5.アプリケーションの性能管理計画を立てる

 アプリケーションの性能要件と事業部門のSLA要件を満たすための計画と手順をあらかじめ作っておけば、修羅場やその後始末は最小限に抑えられる。これには、事業部門の要求とアプリケーションの要件の対応付け、介入するかどうかを判断するためのしきい値と指標の設定、ユーザーやトランザクションからディスクに至るまでのインフラ全体の継続的な監視が含まれる。これらのツールと手順があれば、ITマネージャーはストレージが危険な状態になるまでどれだけの猶予があるかや、インフラ変更がキャパシティに与える影響などを把握できる。

 計画には、どれをアーカイブできるか、どれをオンラインの状態にしておく必要があるかを判断することも含める必要がある。どのアプリケーションがもっとも高速なストレージやサーバを必要とし、どれが低価格なデバイスでも耐えられるか?性能とコストおよび事業ニーズとのバランスを取ることが重要であり、最近の企業では、どれだけこれを行っても十分ということはないだろう。

Sherman Wood

Preciseの製品担当バイスプレジデントを務めている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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