藤井 クラウドを導入して終わりという方は確かにいます。もちろん、それでもある程度の効果は出るのですが、Google Appsを導入し、OutlookをウェブメールとしてのGmailに変えただけでは、ユーザーがクラウドの本来のインパクトを実感するのは難しい。クラウド本来のメリットをユーザーに伝え、実感してもらうかは、情報システム部門の腕次第という気がします。
御手洗 クラウドは基本的にIT部門の仕事を奪うのではなく、むしろその役割を広げる。ただし仕事ができない人には過酷かもしれません。確かに、個人的にも市場が縮小しているイメージはまったくありません。むしろ企業ITで取り扱う分野がより広がっていると実感します。クラウドが普及する前は情シスの仕事はインフラ周りに関することがほとんどだったと思うのですが、これからはどうなるでしょうか。
日本技芸 代表取締役社長 御手洗大祐氏
御代 感覚値としては、インフラ6割、アプリ4割くらいになると予想しています。個人的にはアプリエンジニアがもっと増えてもいいと思いますね。
山下 エンジニアの育成という話もよく議論になるんですが、すごいコードをあっさりと書けるようなスーパープログラマーも魅力的ですが、ITをスマートに使いこなせる技術者がもっと増えてもいい。
例えば、iPadがどんどん普及してきているけど、iPadを業務でスマートに使いこなすのってけっこう難しい。社内ネットワークに組み込むのも、移動しながらWi-Fiや3Gを途切れることなく拾ってつなぎ続けるのも大変だったりする。一般ユーザには苦手なことをさらっとスマートにこなせる技術者はこれからもっと求められるようになりますよ。