このコメントに込められた意図は、まさしくアプリケーション事業のテコ入れではないか。だとすれば、どのようなテコ入れが行われるか、注目しておきたい。
「NECの環境経営への取り組みは、行動計画に基づいて環境面から社会に貢献していくのが目的。その中でビジネスも広がっていくと考えている」
(NEC 福井雅輝 執行役員常務)
NECが6月26日、グループ全体で推進している環境経営行動計画の取り組み状況について記者説明会を開いた。同社の環境経営を担う福井氏の発言は、その会見の質疑応答で、「NECの環境経営への取り組みはコストセンターか、それともプロフィットセンターか」と尋ねた筆者の質問に答えたものである。
NEC 福井雅輝 執行役員常務
同社はその会見で、行動計画における2011年度の進捗を明らかにした。主要なポイントを紹介しておくと、まずITソリューションで社会全体の二酸化炭素(CO2)削減に貢献した実績は、行動計画がスタートした2010年度からの累計で443万トンと算定。2011年度だけでは231万トンと当初目標の212万トンを上回った。
こうした実績を上げた要因としては、省エネオフィスサービス「エネパルPCパック」や「エネパルOffice」などのITソリューションが、広く受け入れられたことが大きいという。ちなみに行動計画ではこの領域で、2017年度までに1500万トン減らす目標を掲げている。
また、製品のエネルギー効率を高めてユーザーの使用段階でのCO2発生を抑制した実績では、2005年度に比べて66%改善(全製品の加重平均)。こちらも当初目標の62%改善を上回った。改善の要因としては、超小型マイクロ波通信システム「iPASOLINK」や、温度が40度になっても動作保証を施したサーバなどを提供したことが大きいという。この領域では、2017年度に同80%改善を目指している。
一方、NECグループ自体の2011年度のCO2排出量実績は、前年度比23%減を達成。ちなみに1990年度と比べると、3分の1以下となった。特に本社ビル、府中事業場に続き、東京データセンターが東京都の「優良特定地球温暖化対策事業所」の準トップレベル事業所に認定されたことがトピックだという。
さて、冒頭の福井氏の発言だが、筆者には「NECの環境経営への取り組みはコストセンターとプロフィットセンターの両面がある」との答えに聞こえた。実際、その通りだと思う。ただ、筆者がこの質問をしたのには伏線がある。かつて富士通の環境経営を担う責任者が、「私たちはプロフィットセンターとしての役割を担いたい」と答えたのが強く印象に残っていたからだ。
実際には両面があるだろうし、富士通の当時の責任者の発言も「それくらいの気概で」という自らの意気込みを敢えて語ったようにも思う。とはいえ、ライバル同士の責任者の発言に違いがあるのも興味深いところだ。違いがあっていい。が、これは環境経営の根幹に関わる論議だと思うので、とりわけ経営層にはこれまでにも増して強い関心を持ってもらいたい。
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