最後になるが、以前にも紹介したベテランのマイクロソフトウォッチャー、メアリー・ジョー・フォリー氏が、米ZDNetの「All About Microsoft」で取り上げていた、ある面白い見方について紹介する。
マイクロソフトが6月末(同社の会計年度の終わり)、2007年に買収したオンライン広告配信企業のaQuantiveに関するのれん代の損金処理に際して、62億ドルという巨額の費用を引き当てたというニュースは各所で報じられた通り。このアクションについて「バルマーCEO指揮下のマイクロソフトが第3期に入ろうとする兆し」という見方が記事で紹介されている。
記事の中でフォリー氏は、あるマイクロソフト関係者のブログを参照している。
ブログに綴られたこのエッセイは、「aQuantiveに関わる過ちを認めたことについて」というタイトル。執筆者は元マイクロソフト社員で、在職中は同社の「優秀なエンジニア」にも選ばれたことがある人物だそうだ。
そのOBの目からみると、バルマー氏はまずプレジデント、後にCEOとして、米司法省との独禁法違反をめぐる攻防やポスト9/11の景気後退期における経営の舵取りなど、主にマイクロソフトを沈没させまいと奮闘していた「第1期」(または「Windows Vista期」)、そしてグーグルなどの急激な台頭によってパニックに陥り、他社へのキャッチアップを図ろうとしていた「第2期」(「Windows 7期」)があるという。第2期には、Windows 7やXbox 360のような成功例もあれば、aQuantiveの買収のような大きな失敗もあった。今回の損金引き当ては第2期に良くも悪しくもケジメをつけるもの——「過去の失敗を認め、先に進もうとする意思表示」にみえるという。
そして「マイクロソフトCEOとしてのバルマー氏の真価が問われるのは、今年どれだけの成果をあげるか、それが1年後にどういう決算数字になって表れるか」がポイントになる(註6)。
昔風な言い方をすれば「スティーブ・バルマー 3.0」とも言えそうなこれからの時期に、いったいどんなもの、どんな動きが出てくるか(あるいは出てこないか)は、とても興味深い。同時に、昨年はグーグルとアップルが新経営体制に移行したこをを併せて考えると、現在がやはり大きな潮目の変わり時にあることがさらにくっきりとしてくるようにも思える。
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註6:バルマーの真価が問われる
"Now we are in the third phase where Steve has fully taken the reins and the Microsoft we are seeing is his Microsoft. It's not all positive (particularly for employees), but for customers the 2012 product wave is probably the best in the company's history. Microsoft is finally back. So for me the aQuantive write-down is the last major step in Steve putting the panic phase behind him. History is going to measure Steve ‘s tenure as Microsoft CEO on what happens in 2012 (FY 2013 for those into financial measures) and beyond, not what happened in the 2000s."