グルーバーはこのエッセイの締めの部分で、「アマゾン、グーグル、そして今ではマイクロソフトさえもが、タッチスクリーンで操作する独自の携帯型タブレットを設計し、販売しようとしている。それもこれもすべてはiPhoneが登場したせいである」と書いている(註10)。
また、このエッセイ公開の数日後に公開されたBusinessweek誌の記事——この日に浮上した「アマゾンのスマートフォン投入」の可能性に触れた記事は、もっと明け透けな言い方で次のように書いている。
ここで我々が話をしている企業各社——アップル、グーグル、マイクロソフト、アマゾン、それにフェイスブックにとって、この戦いの掛け金はとても高いところまでつりあがっている——あっちこっちの分野でハードウェア(単品)を開発・投入すればいい、という状況ではない。単に携帯電話機や電子書籍端末を作ったり、あるいはクラウドベースのストレージサービスを提供すれば、それで十分という話ではない。どの企業もいずれは、テレビ分野の戦略、ゲーム分野の戦略、小売分野の戦略、ブランディングの戦略、それに知的財産のポートフォリオやコンシューマー向けのアレコレ、そしてメディアやデータ関連のウェブサービスなどが、巨大なスケールで必要となってくる。そうしたものが用意できないのであれば、このゲームには参加しないほうが得策だろう。(註11)
これは、つまりiPhone登場で比較的静かに始まった地殻変動が、今やごく少数の強者にしか勝ち目のない大戦に至っている、と言う認識に基づく見解だろう。
「アマゾンのスマートフォン投入により、テクノロジー業界では非常に高くつく大戦が勃発する」というタイトルからは、そんな認識が伝わってくる。
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註10:iPhoneの登場が生み出したもの
Amazon, Google, and now even Microsoft are designing and selling their own integrated touchscreen portable tablets. "App" is now a household word.
All of this, because of the iPhone.
註11:このゲームには参加しないほうが得策だろう
For the companies we're talking about, though, the stakes are much higher than putting out a device here and there. It's not enough to make a phone or an e-reader, or to offer cloud storage. They will ultimately need a TV strategy, a gaming strategy, a retail strategy, a branding strategy, an IP portfolio, consumer chops, and media and data Web services on a massive scale. Otherwise, they might as well not bother to play.
The Amazon Smartphone Launches Tech's Costliest War
タイトルの「Costly」(「コストがかかる」)という形容詞が、最上級になっている点にどうしても目がいってしまう。
なお、この記事を書いたのはアシュリー・バンス氏とブラッド・ストーン氏。バンス氏は、マイクロソフトが「Surface」を発表したとき、プレゼンテーションしていたスティーブ・シノフスキー氏の手の震えに気づいて指摘した人物。ストーン氏は、スティーブ・ジョブズの追悼特集などBusinessweek誌でもテクノロジー分野の大きなネタを扱うことが多い。