フォードの復活にITが果たした役割 - (page 3)

Jason Hiner (TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2012-07-18 07:30

 IT部門はFordの期待よりも速かった売り上げの成長を支えなくてはならず、成果は速やかに現れた。

 「これは効率性を大きく向上させた」とSmither氏は説明した。「そして、われわれは実際、事業部門の機能拡大を進めるために、より多くの試みをしている。われわれは、日常的な運用業務に費やされていた資源を、新たな機能へと振り分けることができるようになった。これは成長を支えており、こうしている間にも多くの新しい工場が作られている。Fordには、建設中の工場が世界中に8つある。IT部門は工場で必要とされるオートメーションを提供するが、同時にそれらの工場をわれわれの持つグローバルな入札システムや部品供給拠点を出入りする部品流通のためのグローバルな物流システムなどと統合している。このように、現在世界中での野心的な成長を支えるために多くの取り組みが行われている。そういった施設はアジア太平洋地域にもあり、ロシアで始めたジョイントベンチャーであるFord Sollersもそうだ。そして、われわれは米国でも機能を拡大しつつある。われわれはシフトを増やしている。また、Ford製品への需要増加に対応するため、多くのケースで組み立てラインのスピードを上げつつある。事業の成長を支えるためだけでも、(IT関連の)活動は巨大なものだ」

集中型連合IT部門

 これらの変化は、当然ながらIT部門の組織そのものに対しても大きな影響を与える。

 「われわれは、歴史的に取ってきた分散型のモデルから、集中型の連合モデルに近いものに移行しつつある」とSmither氏は述べた。「これは実際には、双方(集中型と分散型)の組み合わせだ。共有サービスは高度に集中化されている。これは、One Fordモデルを忠実に反映したものだ。One Fordモデルがあり、またわれわれには製品のエンジニアリングと製造のための共有スキルチームがあるため、世界中で一貫したプロセスを推し進めている一方で、それらの製品で北米、南米、欧州、アジア太平洋の各市場に特有の要件を確実に満たせるよう、事業部門を支援しなくてはならない。また、同じことをIT部門に対しても行った。われわれは規模の効率性を活かしながら、各スキルチームや事業部門の独自性もサポートしようとしている」

 考え方の概略は、最善の組み合わせによる共有サービスを作り、Fordの技術の青写真を標準化する一方で、事業部門にITプロフェッショナルを配置し、事業の細部や顧客について理解できるようにすることで、両方のやり方のよいところを活かすというものだ。

 Smither氏は次のように述べている。「われわれは、IT環境を単純化しようとしている。以前は各地域ごとに予算を持っていたが、われわれはグローバルなアプリケーション開発とサービスとしてのインフラの構築を行い、社内を再編する時期を経験した。このため現在では、インフラと運用についての共有サービスが1つあり、アプリケーション開発のための共有サービスが1つある。しかしその後、われわれは欧州か北米か、研究であるか、製品のエンジニアリングや製造であるかを問わず、それぞれの事業活動にITプロフェッショナルを組み込んだ。(その結果)世界中で成長する中、顧客や製品(開発)または製造施設がそれぞれ持っている固有の要件を支えつつ、ITの規模を世界中で活用できるようになった。

Fordの革新を後押しする

 このようにIT部門の組織を変えた目的は、ひとえにFordをより素早く、より俊敏に、より革新的な企業にすることだ。これは例えば、Smither氏が言及した「新たな機能」がどういったものかは、IT部門がFord SYNCの開発と実現や、同社の製造工場のオートメーション化にあたって大きな助けとなったことからも明らかだ。

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