幸い、Fordはツールについてだけ考えているわけではなく、実際の従業員がそれらをどう使うか、特定のツールをどんな場面で使うかについてIT部門がどうアドバイスできるかについても考えている。
「デジタルワーカーの最初のフェーズは、ツールを1つにまとめることだった。われわれの現在のフェーズでは、ツールだけでなく、プロセスと統合についても考えながらビジネスの機能を最大化すること、そして、ただツールを提供するだけでなく、テクノロジによって、従業員がしようとしていることをより生産的にできるようにしようとしている」とSmither氏は述べた。「われわれはまた、『仕事のやり方』と呼ばれるものに多くの手間を割いている。これは、どのツールをどの場面で使うのがもっとも効率的かを理解できるようにするための、シナリオを使ったアプローチだ。効率的な打ち合わせをするためのシナリオや、どの場面でどのツールを使うかといったシナリオがある。われわれは多くの注意を引いており、デジタルワーカーフレームワークを使って共同作業をする能力を強く後押ししている」
これらのプログラムが実際に動いている例として、2008年からFordにおり、ソーシャルメディアの責任者でデジタル技術を使いこなしているScott Monty氏を挙げよう。Monty氏は「わたしは『デジタルワーカー』と『仕事のやり方』のエンドユーザーの1人だった。IT部門が社内で単なるツールを提供する存在だと見られていたところから、事業の問題を解決するのを実際に助ける真の共同作業者でありイノベーターであると考えられるようになるのを見るのは興味深いことだった」
4つの大切なこと
野心的な目標を後押ししながら、同時に自らの運用を改善し、従業員に対してより賢く、より効率的なサポートを提供しようとするIT部門は、的が絞られ、統制が取れていなくてはならない。
このため、Smither氏はIT部門を以下の4つの優先事項に従って組織化した。
- アプリケーションの統合を進める
- 成長を支える
- 共同作業を可能にする
- 社内の効率性を高める
よいニュースは、Fordのような巨大でこわばった企業で、古い技術や手続き、文化が障害になっていたとしても、同社が過去5年から6年で成し遂げたように、ITの面で大きな進歩を遂げることは可能だということだ。同様の試練に直面している他のIT部門は力強く思うべきだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。