編集部からのお知らせ
「ZDNet Japan Summit」参加登録受付中! 
新着記事集:「負荷分散」

かつての勢いを失った「オープン」--その精神と現状、今後について考える

Patrick Gray (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2012-07-20 07:30

 オープンな未来への旅は、どこで道を誤ってしまったのだろうか?また、未来のコンピューティングにおいてオープンソースの居場所はあるのだろうか?

 昔々あるところに「オープンソースムーブメント」と呼ばれる活動があり、その提唱者たちはユートピアのような未来を思い描いていた。その未来世界では、コンシューマーや企業が、デスクトップOSにはじまりネットワークのルーティングソフトウェアにいたるまで、ありとあらゆるものを星の数ほどある無償製品のなかから自由に選択できるとされていた。さらに、そういったオープンソース製品にちょっとした改良を加えたり、特定の環境に適合させるための改修を施すことさえ自由に行え、そういった成果物は何の制約もなく、あるいはオープンソースコード特有の高尚な精神に由来する再配布合意条項に基づき、他者と共有することもできるとされていた。つまり、未来のコンピューティングは欲深い企業によって支配されるのではなく、才能と慈悲心にあふれたソフトウェア開発者によって統治されるようになり、オープンな標準を用いたオープンなネットワークを通じて、さまざまなオープンソースアプリケーションが自由にやり取りし合うという世界が実現するというわけだ。

 しかし、こういったオープンコンピューティングの未来世界が実現する前に、奇妙な現象が起こったのだった。ベンダーもコンシューマーも一様に、クローズドなシステムに対してお金を払うことを選択し、しかも多くの場合に「クローズドであればあるほど望ましい」という態度をとったのである。Microsoftは、たびたび批判にさらされながらも、企業分野における支配的なコンピューティングプラットフォームの座を維持しつつ、デスクトップPCの世界にも君臨し、多数のデータセンターでもその製品が採用されている。また、近年になって重要性が高まりつつあるモバイル分野に目を向けると、業界のリーダーであるAppleはクローズドなシステムの申し子とも言える存在であり、ハードウェアやOS、アプリケーションの流通を厳しく統制している。さらに、クローズドシステム特有の苦しみからわれわれを救うはずのAndroidでは、Amazonの「Kindle Fire」が最も人気のあるタブレットとなっている。同製品はオープンスタンダードの模範というには程遠いものであり、Androidタブレットを大幅に改造し、Amazonの提供するコンテンツの販売に特化したものとなっている。オープンな未来への旅は、どこで道を誤ってしまったのだろうか?また、未来のコンピューティングにおいてオープンソースの居場所はあるのだろうか?

オープンコンピューティングにおけるスタックの問題

 技術屋は「スタック」について語るのが好きだ。ここでいうスタックとは、何らかのコンピューティングアーキテクチャを話題にする際、アプリケーションやコンピューティングサービスを構成するさまざまなコンポーネントを低レベルから高レベルまでの階層に分類したものだ。例えば、アプリケーションによって使用される低レベルのネットワークプロトコルのことを指す場合もあれば、関連する開発ツールのことを指す場合もあり、アプリケーション自体を指したり、それに関連付けられたデータを指す場合もある。アプリケーションスタックのほとんどは、昔からオープンコンピューティングに支えられてきた。また、インターネットや大多数の企業ネットワークはTCP/IPというネットワークプロトコルによって支えられており、それがなければ人々は途方に暮れてしまっていることだろう。またウェブ自体も、ApacheやMySQLといったプロジェクトの名の下で開発されているオープンソースのデータベースやウェブサーバがなければ見る影もなくなってしまうはずだ。こういったサポートアプリケーションは、サービス全体で見ると必要不可欠なものであるが、現代におけるほとんどのアプリケーションを縁の下で支える便利な存在という扱いにとどまっている。平均的なユーザーであれば、仕事で知らず知らずのうちにApacheやMySQLサーバとやり取りを行っている可能性があるものの、こういったアプリケーションについて尋ねられた際には、ぽかんとした顔をすることも多いはずだ。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

特集

CIO

モバイル

セキュリティ

スペシャル

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. クラウドコンピューティング

    Google Cloudセキュリティ基盤ガイド、設計から運用までのポイントを網羅

  2. セキュリティ

    仮想化・自動化を活用して次世代データセンターを構築したJR東日本情報システム

  3. ビジネスアプリケーション

    スモールスタート思考で業務を改善! 「社内DX」推進のためのキホンを知る

  4. セキュリティ

    Emotetへの感染を導く攻撃メールが多数報告!侵入を前提に対応するEDRの導入が有力な解決策に

  5. セキュリティ

    偽装ウイルスを見抜けず水際対策の重要性を痛感!竹中工務店が実施した2万台のPCを守る方法とは

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNet Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]