新野氏自身、以前は大規模な展示会に出向き、例えばCOMDEXの会場でBill Gates氏の基調講演を聞いて情報を入手するといったスタイルだった。「具体例を挙げると、CitrixがCloud.comを買収し、その後の製品はどうなっていくのか正式アナウンスがなかった段階で、ユーザー会に出席し、出席していた関係者から、その場で今後のロードマップを聞き、記事にまとめることができた」と自身の体験を交えて話した。
そしてこれを踏まえて新野氏は、「歴史が新しいクラウドに関しては、企業内に長年クラウドを担当してきたベテランといった人材は存在しない。コミュニティに積極的に参加している若手を起用してみてはどうか」と情報システム部門の人材のあり方にも新たな提案を投げかけた。
再び登壇したDholakia氏は「クラウドは1社の技術で統一しないと動かないというベンダーもあるが、われわれはクラウドはオープンであるべきと考える。すべてのレイヤで選択の余地があるべきだ。そして、このオープンは“オープンソース”と置き換えてもよい。これまでメーカーから発信されるという順番がオープンソースコミュニティの方が先行するという時代になっている。その例がデファクトとなっているHadoopだ」とクラウドはクローズなものではないと力説した。
Citrix自身もオープンソースコミュニティで作られたCloudStackを販売しているが、「無料で提供されているものでどうビジネスをするのか? という質問を受けることがあるが、ユーザーはアップグレードの際など製品版が必要になると考える時がある」とDholakia氏が説明する。
そしてクラウドがあってはならない例として、Dholakia氏は「クラウドとは独立した島であってはならない」と指摘した。
「何百、何千ものクラウドが作られているが、本来のクラウドとはハイブリットクラウドであり、プライベートクラウドであっても、パブリッククラウドであっても、接続されたものでなければならない」(Dholakia氏)
それを実践しているゲストスピーカーとして、ライトスケール・ジャパンのディレクターで営業・事業開発担当である新藤洋介氏が登壇。同社が提供するSaaS形式のクラウド運用管理システム「RightScale」は、一度構築したサーバシステムを、パブリックでも、プライベートでもどのようなクラウドでも共通した運用を実現する。
RightScaleのユーザー企業であるZyngaの場合、パブリッククラウド、プライベートクラウド間でポータビリティを実現するためにRightScaleでオートスケーリングしている。「24時間以内に大規模なサーバインスタンスを起ち上げるといったことが可能となる」(新藤氏)
続いて米Citrixのクラウドネットワーキングプラットフォームグループ グループバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるSunil Potti氏が登壇。クラウドの重要要素のひとつであるネットワーキングについて言及した。
Potti氏は「同じネットワークでも、クラウドネットワークとエンタープライズネットワークは異なる特徴を持っている」ことを指摘。データセンターの外のネットワークはデータセンターを利用する人たちばかりでなく、ISPなども利用する混雑した環境となっているが、「われわれはNetScalerを持っている。アプリケーションやサービスの遅延が起こらないためのノウハウを色々と学習している」と紹介した。