大戦の巻き添えを食う「その他の関係各社」
前回の記事でも書いた通り、いま進行中のスマートフォンやタブレットを中心とした大手各社の戦いは、それぞれがバックエンド(クラウド)から端末までをカバーする「プラットフォーム同士の覇権争い」となっている。
この覇権争いでは、複数の線戦を同時に維持するだけでも参加者は大変な負担を強いられるが、それに加えて、コンテンツや商品の販売で投資を回収すればいいアマゾンや、検索広告などのサービスで回収すればいいグーグルが、儲け無しで端末を配るという快挙(少なくとも消費者にとっては)に出た。
「ユーザーアクセスの補給路確保」という大義と、それを実行できるだけの体力的裏付けがあってのことだろうが、こうなると他にドル箱事業(少なくとも十分なキャッシュフローをもたらす事業)があるプレーヤー、もしくはアップルやサムスンのように膨大な「規模の経済性」のメリットを享受できるプレーヤーくらいしか、覇権争いの土俵に上がれなくなる。そうでなければ、勝機はおろか、そもそも商機さえ手にすることができなくなる。
買収される前のモトローラが「XOOM」というiPadより高価なAndroidタブレットを投入し、アップルにあえなく敗退したのはつい2年ほど前のことだが、今となっては遠い昔の話に思えてしまう(そもそもiPadの499ドルという値段さえ「ちょっと驚異的」と言われていたあの頃、いずれ150〜200ドルで最新鋭のタブレットが手に入る時代がくる、と予想した人はそう多くはなかっただろう)。
世界を見れば、スマートフォンではすでに「アップルとサムスンの2社しか儲からない」という二強化傾向が相当進んでいる。タブレット市場も早晩(案外短期間に)そうした状況になるかもしれない。
ただし、今はまだほとんどの人が思いついていないような新機軸をひっさげた「ゲームチェンジャー」でも出てくれば話は別だが。
(文中敬称略)
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