富士通、2011年度の環境目標をすべて達成--社会貢献の取り組みも公表

大河原克行

2012-07-23 15:31

 富士通は7月23日、「富士通グループ 社会・環境報告書」の発行にあわせ、同社の環境活動やCSR活動に関する説明会を開催した。

 富士通グループでは、2012年度を最終年度とする3カ年計画「第6期富士通グループ環境行動計画」に取り組んでおり、「グリーンICTの研究開発の強化」「製品サービスの環境価値向上とグリーンICTの開発・提供強化」「自らの環境負荷低減の強化」「環境経営基盤の強化」「環境社会貢献活動の推進」「生物多様性保全の推進」の6つの重点分野において、18項目の具体的な活動目標を策定している。

  • 富士通 環境本部・竹野実本部長

  • 富士通グループの環境行動計画

 富士通 環境本部・竹野実本部長は、「2010年度および2011年度はすべての目標を達成している。環境効率ファクターや再生可能エネルギーの利用率などの4項目は期中に目標を上方修正し、これも達成している。この取り組みは、2020年度までの中期環境ビジョンであるGreen Policy 2020からのバックキャスティングとなっており、2011年度の目標達成は大きな意味がある」などとした。

 富士通では、2012年度までに温室効果ガス排出量の目標を1990年度比6%減と定めているが、2011年度には109.8万トンとなり、90年度比18.2%を削減。さらにエネルギーCO2排出量は、90年度比10.7%減の96.7万トンになっているという。

 とくに節電が求められている国内においては、運用改善と設備投資により、エネルギー消費によるCO2排出量は5万トンを削減。「ICTを活用した経営ダッシュボードにより、電力使用状況だけでなく、CO2排出量やマイクログリッドなどの運用状況などをリアルタイムで一元表示できる。これを契約電力500kW以上の73事業所に対して展開していく」とした。

 また、2011年度には新たに4事業所に343kWの太陽光発電システムを前倒しで導入。2011年度までの設備投資を含めて合計で608kWを発電。再生可能エネルギーの利用率は2007年度に比べて11倍に拡大したという。

 太陽光発電システムを導入した富士通テレコムネットワークス関城工場では、ピーク電力を33%削減、CO2排出量は21%削減を達成。また、富士通長野工場にグループ初の地中熱採熱システムを今年1月に導入し、燃料使用量を原油換算で47kL、CO2排出量を年間約120トンをそれぞれ削減できる見込みだという。

 さらに、グリーンICT提供を通じたCO2排出量削減では、2009年度から2012年度までに累計1500万トン以上の削減を目指す計画に対して、2011年度までの累計で998万トンを達成しているという。

 環境に配慮したスーパーグリーン製品を2012年度までに30%以上開発するという目標に対しては、2011年度で33%を達成。性能あたり動作時消費電力を58%減としたPCサーバ「PRIMERGY TX100 S3」、動作時消費電力を70%減とした基幹IAサーバ「PRIMEQUEST 1400S2」などの取り組みを紹介した。

 また、富士通研究所が開発した環境影響評価手法を用い、ICTの導入による15%以上のCO2削減効果を達成するソリューションを認定する「環境貢献ソリューション」を新たに28件認定。2004年度までの累計認定件数は258件に達したという。

  • 2011年度の実績 顧客と社会への貢献

  • 2011年度の実績 富士通自身の変革

  • 2011年度の実績 生物多様性の保全

 一方、CSR活動については、富士通グループの理念・指針である「FUJITSU Way」の実践を掲げていることを改めて強調。2010年12月に制定した「CSR基本方針」に基づき、優先的に取り組む5つの重点課題として、「ICTによる機会と安心の提供」「地球環境保全への対応」「ステークホルダーとの対話と協力」「多様性の受容」「地球と社会に貢献する人材の育成」に取り組んでいることを示した。

 また、このほど発行した富士通グループ 社会・環境報告書では、「The Power of ICT for sustainability and beyond」をテーマに掲げ、「人口が77億人と約1割増加し、インターネット利用者が40億人と倍増することが見込まれる2020年の世界を見据え、富士通は、ICTが果たすべき役割を表明する。富士通が環境以外の分野で中期的な目標を対外的に示すのは初めてのこと」(富士通 CSR推進部・藤崎壮吾部長)とした。

 富士通では、「2020年度に向けて、ICTの3つの力で社会の変革に取り組む」とし、コンピューティングで世界の難問や社会的課題を解決する「未来を切り拓く力」、使いやすい端末やインターフェース、途上国へのICT導入を促進することでサイバー社会への扉を開く「すべての人にチャンスをもたらす力」、ICT社会インフラの安定稼働とサイバーセキュリティに取り組む「安心・安全な暮らしを支える力」という3点に取り組む姿勢を示した。

  • 富士通 CSR推進部・藤崎壮吾部長

  • 富士通のCSRの基本方針

 とくに、ICTによる機会と安心の提供として、世界最先端のコンピューティングにより、未来をシミュレートすることで気候変動や資源不足、災害などの難問解決に貢献。都市、食、医療、教育などに関わる課題についてもICTを活用したソリューションをグローバルに展開するとしたほか、経済・社会活動を支えるICTインフラを安定的に運用することで、信頼と安心を確保し、ICTソリューションの提供を通じて個人情報や企業機密を守る高度なセキュリティを実現するなどとした。

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