本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今週は、グーグル 阿部伸一 エンタープライズ部門マネージングディレクターと、米Yahoo! Marissa Mayer CEOの発言を紹介する。(ZDNet Japan編集部)
「Googleのエンタープライズ事業におけるグローバルなパートナー展開は、日本での取り組みがロールモデルとなっている」 (グーグル 阿部伸一 エンタープライズ部門マネージングディレクター)
米Googleが先頃、企業のクラウド利用を支援するパートナー向けプログラム「Google Cloud Platform Partner Program」を発表した。こうした動きの中で、筆者は先週、Googleのエンタープライズ事業について阿部氏に取材する機会を得た。冒頭の発言はその際に、同氏がパートナー展開について語ったものである。
ちなみに、阿部氏はGoogle日本法人であるグーグルのエンタープライズ事業を統括しており、これまで日本市場でのパートナーとの「エコシステム」づくりに注力してきた。同時に、その取り組みを米国本社にも伝え、グローバルなパートナー展開の強化を促してきた。
そうした経緯もあって、米国本社がこのほど新たなパートナー向けプログラムを展開する形となった。新プログラムでは、Googleのクラウドサービス「Google Cloud Platform」に対する企業ニーズに応えるためのツール、トレーニング、リソースを提供するという。
Googleはかねて、外部の開発者などにアプリケーションやWebサイトの構築、データの保存や分析に同社のクラウド環境を活用できるように、PaaSモデルの「Google App Engine」、ストレージサービス「Google Cloud Storage」、データ分析サービス「Google BigQuery」などを提供してきた。
Google Cloud Platformはこれらに加え、先頃発表したIaaSモデルの「Google Compute Engine」や、Googleがこれまで自社開発してきた各種APIなどをプラットフォーム用サービスとして整備し、提供するものだという。
また、新プログラムではパートナーを「Service Partners」と「Technology Partners」の2種類に分類し、前者にはGoogle Cloud Platformに関するコンサルティングと実装サポートを提供し、後者にはGoogle Cloud Platformをインテグレートするためのツールを提供するとしている。こうした取り組みとともに、「日本ではこれまで以上に、グーグルのプリセールス部隊がパートナーとともにお客様の声を直接お聞きできるよう、積極的に活動していきたい」(阿部氏)としている。
せっかくの取材の機会なので、阿部氏にもう1つ、聞いてみたかった質問をぶつけてみた。かねてからクラウドサービスの間接販売は儲からないとの見方があるが、グーグルのパートナー展開の陣頭指揮を執る立場からみて、実際にパートナーは儲かっているのか、だ。これに対し、阿部氏はこう答えた。
「確かに、これまでシステム構築事業を中心としてきたパートナーからは当初、儲からないのでは、との声も聞かれた。だが、今ではそうした収益モデルの話もきちんとできるようになり、むしろ当社への高い期待レベルを聞かせていただく機会が多くなってきた。そうした意味からも、日本でも大きなパラダイムシフトが起こりつつあると実感している」