Bloomberg Businessweek誌によれば、各国中央銀行が、Googleの検索ワードのトレンドに注目している。なぜかと言えば、Googleでどんな言葉が検索されているかを追いかけることで、経済の先行きの予測がより正確に出来るからだという。その予知能力の実力に注目している国には、イスラエル、アメリカ、イギリス、イタリア、スペイン、トルコ、チリといったところが含まれる。
その考え方は単純だ。つまり、経済動向に関連の深い検索ワードの傾向を分析することで、その先行指標が捉えられるのではないかという考えだ。
例えば、「失業手当」という単語を調べる人が増え始めたら、それは失業率が上昇する前触れではないかと解釈できる。従来であれば、実際に失業が発生して、それが失業率に反映されて初めて分かることが、検索ワードの動向によってより早く察知できる。
記事によると、どうやら各国中央銀行が検索ワードに注目し始めたのは、リーマンショックの後であるらしい。MITの教授による2009年の研究では、検索ワードによる分析が行われていれば、米国のサブプライム問題をより早く検知できたであろうことが指摘されている。
経済のグローバル化と、リアルタイム化が進む中、事後の情報を追いかけるだけでは、もはや危機の予測が困難であり、いかに先行指標を捉えて手を打てるかが重要になってきているということだろう。
しかし、民間においては、先日取り上げた「市場心理インデックス」のように、ソーシャルメディアの情報を市場予測に活用することは行われている。
ただ、こうした情報を公の経済予測に活用しようとすると、それがネット上から得られた情報に限定される故に、必ずしも正確なものではないという指摘がある。記事では、イギリス中央銀行がGoogleの検索ワードが失業率の予測に有効であるなどの研究結果から、実際にその活用を始めているという。
リーマンショックに際しては、例えば個々の企業や金融機関の監督のようなミクロの規制だけでなく、よりマクロに経済全体を捉えないと危機に対処できないことが指摘された。その背景には、経済のグローバル化により、ミクロな視点だけでは全体像を見失うということがある。
そう考えると、検索ワードを活用するとしても、従来と同じ指標を早く捉えるだけではなく、今までと違う何かを捉える事が必要なのではないだろうか。つまり、押さえるべきトレンドにも一工夫しなければ、単なるいたちごっこの域を出ないだろう。
さて、今年も個展を開催します。以前は、創作活動とビジネス活動は別々のものと考えていましたが、最近はむしろ一体のものだろうと割り切るようになりました。
所詮平日のみならず、週末も仕事のことばかり考えている以上、同じ人間から生み出される創作物には多分にその影響があると考えるのが普通であると。故に、私の作品には日々のビジネス活動から感じ取れることが多分に表れていると言えるでしょう。
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飯田哲夫(Tetsuo Iida)
電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。1992年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。